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大阪の人気パン屋が手掛ける『鉄パン焼き271』。コロナ禍の開業も“柔軟さ”で常連客つかむ

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秋吉杏香さん(左)と、正貴さん(右)。夫婦で『鉄パン焼き271』を運営する

大阪・梅田に本店を構え、行列の絶えないパン屋として知られる『ROUTE271(ルート・ニナナイチ)』。その姉妹店として、鉄板焼きのパンメニュー、そしておでんや餃子などのアテを楽しめる居酒屋『鉄パン焼き271』が、2020年7月に肥後橋でオープンした。

『ROUTE271』が手掛ける店とあってパンマニアが訪れるのはもちろんだが、おでんや餃子の評価も高く、幅広い層から支持を集めている。同店を運営する秋吉さん夫婦に、『ROUTE271』のオーナーシェフである船井高志さんとともに取り組んできた独自の業態づくりについて伺った。

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道路に面した窓から店内の様子を伺いやすく、お客の入りやすさに繋がっている

きっかけは、「2人に任せたら面白そう」という船井シェフのひと言

『鉄パン焼き271』を切り盛りするのは、『ROUTE271』でパン製造の経験を積んだ秋吉杏香さんと、同店のオープンを機に異業種から転向した正貴さん。二人は船井シェフとともに一から業態づくりに携わり、現在は店舗運営を任されている。

「私、もともと香川の小さなパン屋で働いていたのですが、大阪でパン屋巡りをしたときに『ROUTE271』のパンを食べて感動して。どうしても船井シェフのもとで働きたくなって、香川から出てきたんです」と話すのは、秋吉杏香さん。大阪へ来てからは『ROUTE271』のパン製造部門で働きながら、将来は正貴さんと店を構えることを目標に腕を磨いてきた。

一方、正貴さんはアパレル出身で、船井シェフとは杏香さんを通して親交があったという。「3人で食事に行く機会があったのですが、話しているうちに僕たちのことを気に入ってくれたのか、船井シェフが『君たちに任せたら面白い店ができそう』と言ってくださったんです」と、正貴さんは話す。その後、船井シェフから正式に「2人でやってみないか」という話があり、正貴さんは転職して『ROUTE271』で働きながら新店オープンに向けての準備を進めることになった。

飲食店の経営者が店舗展開をする際、「どんな人材に店を任せるか」という点は重要なポイントの一つとなる。運営を担う店主の力量や人柄によって、集客状況が変わってくるからだ。今回、取材中に印象的だったのは、杏香さんの明るさと正貴さんの穏やかさ。この2人の空気感が店の居心地の良さ、ひいては常連客づくりの大きな武器になっているのではないかと強く感じた。

店内にはカウンター席と、4人掛けのテーブル席がある。窓際はスタンディングで利用可能

コロナの影響でオープン延期も、メニュー開発に注力

『ROUTE271』には総菜パン、菓子パン、食事パンと多彩なパンが揃うが、なかでも人気は「タイ風焼きそばパン」をはじめとするサンドイッチ類。『鉄パン焼き271』は、こうしたサンドイッチ類を客の前で鉄板を使って作り、ここでしか味わえない出来立てを提供するというのが当初のコンセプトだった。店の業態づくりを進めるにつれて、「お酒も出そう」など次々とアイデアが追加され、ブラッシュアップされていったという。

ところが準備をする中で、2020年5月に予定していたオープンが新型コロナウイルスの影響によって7月へと延期。そんな逆境も、振り返ればチャンスだったと正貴さんは話す。

「オープンまでの準備期間が長くなったことで、メニュー開発により一層力を注ぐことができました。酒屋を巡って日本酒や焼酎の勉強をしたり、お酒に合うアテを試作したり。あの時間があったからこそ、納得のいくメニューとお酒を揃えることができたんです」(正貴さん)

日本酒や焼酎も豊富に揃う

各メニューのレシピを作ったのは船井シェフだが、メニュー開発は3人で連携して行ったそうで、一つ一つにエピソードがある。例えば、おでん出汁はハマグリや鶏ガラなどで試作したが定まらず、3人で情報収集のために行ったおでん屋で透き通った黄金色のおでん出汁と出合い、そこからヒントを得たという。現在は近隣の「靭鰹節店」から削りたての鰹節を毎朝仕入れ、北海道産昆布との合わせ出汁に仕上げている。

また、餃子のエピソードも興味深い。数々のレシピで試作を重ねたが納得いかず、船井シェフが頭に浮かんだイメージで作ってみたところ、肉汁がジュワッとあふれ出す餃子が出来上がり、それが現在の餃子のレシピとなっている。

「『ROUTE271』のパンもそうなんですけど、船井シェフは頭に浮かんだイメージから美味しいメニューをどんどん生み出すので、本当にすごいなと思います。シェフあってのお店ですが、『みんなにもできるから』と言ってくれているので、私たち2人で名物メニューを考案できるようになりたいですね」(杏香さん)

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松尾友喜

About 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。