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東京都を提訴したグローバルダイニングに、飲食店オーナーたちは何を思ったか

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

本件に対する飲食関係者の声

今回の一連の出来事について、千葉県で飲食店を営むとあるオーナーは「時短要請を無視して営業する事を正論にすり替え、そのせいで要請を無視してもしょうがないという風潮を作った責任は大きいと思います」と長谷川氏の影響力の大きさについて言及。また、「役員報酬などはどれくらい削っているのか気になります。私はスタッフやお店を守るために、私生活はギリギリまで節約しています。付き合いもありますが、現在は通常の1/3以下の15万円位しか月間で使っていません」と個人的見解も示す。

東京都内で飲食店を営むとあるオーナーは「提訴はしたものの請求額が104円だったり、命令が出てからは時短要請に従っている点など、単に売上減少を補いたいという点ではないことがこの一件の難しい点であると思います。請求額が単純に売上減少による損害賠償額だったら応援は出来るのですが、グローバルダイニングさんは、国政の在り方を問うという色の濃い提訴を行っているので、この件は飲食店の問題ではない方向に進んでしまっているように思う」と事態の広がりを感じたと話す。

このことについて改めてグローバルダイニング社の訴訟の経緯を調べてみると、そもそも同社は飲食業界の問題だけとは捉えていないようだ。東京都から緊急事態措置に応じない旨を強く発信していることを理由に措置命令書が出されたことは表現の自由の侵害に当たるのではないのかということ、「措置命令書」が出された27店舗中26店舗がグローバルダイニング社の経営する店舗だったことは、法の下の平等と照らし合わせても納得できないことなど、日本における民主主義を改めて問い直すことを目的としている。

行政による時短要請について東京都内で飲食店を営むとあるオーナーは「時短要請は飲食店側がそれに従って協力金を貰うのか、従わないで営業するのかは各店舗が決めることであり、そのお店に行くのもお客様の責任だと個人的には考えています」という見解を示す。その上で「うちは小さい店舗なので少しは余裕があるのでこのようなことが言えるのかも知れませんが」と前置きした上で、「個人的にはいち事業者として、社会に貢献する義務があると思いますし、自分の為にも家族の為にもお客様の為にも感染拡大防止に協力します」というコロナ禍での方針を話してくれた。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

一方、「そもそも時短営業がどれほど感染拡大防止に影響しているのか、行政による説得材料の提示が少ないかと思います」という時短要請の実効性に関する疑問の声も飲食関係者から寄せられた。

ほかにも「グローバルダイニング社は一般的な感染対策に加え、何か特別な対策などをしていたのか気になるところです」というコメントもあった。ちなみに感染対策についてグローバルダイニング社は2020年8月5日付で発表している「新型コロナウイルス感染予防の対応について」では次のような方針を打ち出している。

・体調がすぐれないお客様、基礎疾患をお持ちのお客様は健康状態を最優先し、ご来店を控えていただきますようお願い申し上げます。

・入店時の手指の消毒にご協力をお願いいたします。

・店内消毒を徹底しております(テーブルや椅子、ドアノブ、お手洗いなどを次亜塩素酸水で定期消毒しております)。

・スタッフについて
①マスク着用を推奨し飛沫感染防止に努めています。
②体温検査を実施し、体調管理に努めています。
③定期的な手洗い、うがいを実施しております。

4月12日、東京都など3都府県で新型コロナウイルスの緊急事態宣言に準じた措置をとる「まん延防止等重点措置」が適用され、再び飲食店に対しての営業時間短縮要請が始まった。これにより飲食店は再び対応を求められるような状況となった。まだまだ収束の兆しを見せない新型コロナウイルス感染症。これ以上負担を強いられる人が増えないよう、事態が好転することを祈るばかりだ。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。