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ヤザワミートがコロナ禍で始めた新プロジェクト。成功の鍵は「お客様の笑顔」

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「おうちで焼肉ジャンボ白金 スペシャル2人前」(30,000円)

いち早くテイクアウトとデリバリーをスタート

肉の小売りを始める直前の、2020年3月にスタートさせた新事業がある。ヤザワミート特約店『焼肉ジャンボ白金』の肉を自宅で楽しめる「おうちで焼肉ジャンボ白金」だ。

企画が動き出したのは、コロナ前の2019年。中食需要が高まっていたことを受け、予約困難店の『焼肉ジャンボ白金』が扱う黒毛和牛を詰めた重箱をテイクアウトできるように動き出した。ところが、カットした生肉をテイクアウト用に販売するには、食品衛生法の法令に従わなければならず、「何よりも安心安全を求めた」結果、その検証に思った以上に時間を要した。

「ようやくテイクアウトの準備が整った頃、コロナの渦中でしたが、今やるしかないと思い、即決しました」

ほかの飲食店がテイクアウトを始めようかという矢先、『焼肉ジャンボ白金』自慢の黒毛和牛を詰めた「おうちで焼肉ジャンボ白金」(2人前9800円~)の販売をスタートさせ、さらに東京23区内限定でデリバリーも始めた。

それと同時に、複数の直営店でテイクアウトとデリバリーを開始。これまで『ミート矢澤』では法人用に弁当のデリバリーを行ってきたが、個人宅は未開拓。注文が入るとそれぞれの各店舗を経由して届けることにした。

「料理の内容を熟知する私たち社員が届けようと思い、車やバイク、自転車、徒歩で配達することにしました(一部の料理に限り2021年2月より順次Uber Eats、出前館、Woltを導入)。配達スタッフの服装も、お揃いのシャツに蝶ネクタイ姿で統一しています」

現在、3度目の緊急事態宣言が発令されている。飲食店の営業時間が短縮され、肉の需要や消費量も減少。そのような状況下でも、ヤザワミート本体はフル稼働を続けている。

「ステイホームの影響でオンラインショップのお取り寄せが注目されました。コロナ前から人気があった惣菜は今も半年待ちの状況です。『おうちで焼肉ジャンボ白金』は昨年4月からお取り寄せでもご注文いただけるようになりました」

ヤザワミート社員のデリバリースタッフ

笑顔になってほしいから「Go to MEAT 29の日」を開催

「コロナ禍で困窮する人々が少しでも笑顔になれればと思い、スタートさせた企画もあります。『ミート矢澤』が2020年8月29日からはじめた『Go to MEAT 29の日』です」

29日に来店した人には、すべてのハンバーグを通常170グラムのところ230グラムに増量。9月から他店舗も追随した。現在、国内16店舗中、11店舗が「Go to MEAT 29の日」に参加しており、毎月29日限定の特別メニューを各店舗のシェフとスタッフが考えて提供している。

例えば『ミート矢澤』では、3月29日に「煮込みハンバーグと牛ホホ肉の煮込み」を販売。黒毛和牛を100%使用したハンバーグと、黒毛和牛の牛ホホ肉を特製ソースで煮込んだ料理だ。また、同店の近くにある『あげ福』(揚げ物料理店)では、「黒毛和牛と豚のヒレカツ」を毎月29日に提供。黒毛和牛フィレの牛カツと岩中豚ヒレのとんかつという夢の合盛りを食べさせてくれる。究極の肉料理を食べているときだけでも笑顔になってもらおう。そんな思いを込めて「Go to MEAT 29の日」は運営されている。

『ミート矢澤』(五反田)が3月29日に発売した「煮込みハンバーグと牛ホホ肉の煮込み」

店頭販売やデリバリー、オンライン販売に新キャンペーンと、さまざまなアイデアを形にしながらコロナ禍を戦ってきたヤザワミート。これらの施策は売上を伸ばすという目的もあるだろうが、その根底には「お客様を笑顔にしたい」という強い思いがあった。この思いがあるからこそ、新しいチャレンジでもしっかりと結果を残すことができているのだろう。

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中島茂信

ライター: 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。