ビールの「テイクアウト」がコロナ禍の武器に。下北沢『TAP&GROWLER』の戦略

クラウラーで閉じた持ち帰り用のアルミ缶
メニューを固定せず「次は何が入るのか」とワクワクさせる
『TAP&GROWLER』『TAP&CROWLER』では、それぞれ常時18タップのクラフトビールを扱っている。1つの樽が終われば次の種類に変えるため、定番商品はなく、毎日メニューが変わる。
2021年6月16日現在、『TAP&GROWLER』には宮城県気仙沼市のブルワリー「Black Tide Brewing」の「Rising Tide (#065)」(1/2パイント=857円、32オンス=2,206円、64オンス=3,577円)、宮崎県延岡市のブルワリー「宮崎ひでじビール」の「栗黒」(1/2パイント=1,102円、32オンス=2,786円、64オンス=4,543円)などの人気商品が並んでいた。
また「Kyoto Beer Lab」の「ほうじ茶スタウト」(1/2パイント=1,160円、32オンス=2,933円、64オンス=4,788円)などの個性的なビールや、瓶ビールなどのパッケージ商品も取りそろえる。
「新しいビールが入荷するたび、インスタグラムなどのSNSでお知らせしています。好きなビールや飲んだことのないビールが入るワクワクを感じてもらうのも、お客様を飽きさせない工夫ですね」

渋谷『TAP&CROWLER』店内
2店のコンセプトは「男の隠れ家」。工場のような内装で独自の世界観を構成し、ビールを買う・飲むという体験自体を楽しめるような店づくりを心掛ける。
常連客の層は幅広い。特に多いのは30~40代の男性だが、年齢・性別・国籍を超えた多様な人々が集う。
「クラフトビールの世界には、老若男女問わずいろんな人が虜になっているんですよ。味の個性が面白いし、飲んでいること自体がかっこいい。アイデンティティの一つになるようなカウンターカルチャーだなと」
2店は酒屋として運営しているため、調理が必要なフードは提供しない。お客が店内でビール等を飲むときは、フードの持ち込みが可能。ドリンクに特化したスタイルも店の立ち位置を明確にし、売上を立てるのに貢献している。
美味しさへの徹底したこだわりで常連客の心をつかむ
テイクアウト需要との親和性やコンセプトの明確さだけでなく、ビアバーに大前提として求められる「ビールの美味しさ」も、2店が人気を集める確かな理由だ。
「クラフトビールは酵母が生きているので、持ち帰ってからしばらく経っても悪くなることはありません。ただ、時間が経てば経つほど、作り手が飲ませたい味とはかけ離れてしまう。そのままの美味しさを感じてほしいので、量り売りで持ち帰ったビールは、できれば3日以内で飲みきってくださいとお願いしています」

美味しさが自慢のクラフトビール
誰よりもクラフトビールを愛する、金井氏らしい姿勢が伝わってくる。店がビールに対して真摯に向き合うからこそ、常連客は皆「あそこに行けば美味しいビールが飲める」と信頼を寄せるのだろう。
「来年にはブルワリーを完成させて、オリジナルのクラフトビールを作る予定です。各店舗18タップのうち、4タップずつはオリジナルを入れたい。常連さんも『一緒にやりたい』と言ってくれているので、心強いですね」
そう語る金井氏。今後も『TAP&GROWLER』『TAP&CROWLER』の動向に注目したい。
『TAP&GROWLER(タップアンドグロウラー)』
住所/東京都世田谷区北沢2-33-6 飯嶋ビル1F
電話番号/03-6416-8767
営業時間/15:00~24:00(L.O.23:00)
定休日 /年末年始
席数/テーブル10席、スタンディング10席
公式サイト
『TAP&CROWLER(タップアンドクラウラー)』
住所/東京都渋谷区宇多川町6-20 パラシオン渋谷1F
電話番号/03-6416-5948
営業時間/15:00~24:00(L.O.23:00)
定休日/年末年始
席数/カウンター11席、スタンディング4席、外テーブル4席
公式サイト
