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スシローも値上げ「1皿100円」終了へ。回転すし業態は好調も、原材料の高騰が課題か

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画像素材:PIXTA

5月10日、帝国データバンクが回転すし市場の好調を示すデータを発表した。コロナ禍で外食産業が苦戦するなか、大手を中心とした2021年度の国内回転すし市場は、事業者売上高4636億円と10年前の1.6倍の規模に拡大。前年からも約600億円増加し、7400億円を超える見込みだ。ファミリー層の支持が厚く、テイクアウト需要の高いすし市場の堅調ぶりが明らかになった。

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テイクアウト需要に応え、1世帯当たりの消費額は10年前の1.5倍に

10年前の2011年度から事業者売上高ベースで1.6倍の規模に拡大し、大手5社で店舗数を800店増加させている回転すし市場。コロナ禍が始まった2020年度には過去10年で初めて売上が減少に転じたが、2021年度には復調。その背景には、2020年度後半から売上を伸ばしたテイクアウト需要や、これまで郊外ロードサイドを軸に店舗網を広げてきた主要5社が、手薄だった都市部への店舗展開を進めたことなどがある。

回転すし市場伸長の要因のひとつには、特にファミリー層による需要増もある。総務省の家計消費状況調査によると、コロナ禍によって世帯当たりの外食への支出は大きく落ち込んだが、回転すしはテイクアウト需要を掴んだことで好調。2021年には、コロナ禍にもかかわらず10年前の水準の1.5倍である年間1万2,624円に達した。また、前年度に比べて店内飲食が回復したことで、デザートやラーメンなどテイクアウトでは需要がつかみにくい高額商品がファミリー層を中心に売上を伸ばしたことも関係している。

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売上は好調も、スシローでは利益減。背景に水産物の価格上昇と漁獲量の減少

一方、大手チェーンのスシローを展開するFOOD&LIFE COMPANIESは、2022年9月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比34%減になる見通しと発表。それに伴い、10月から各店舗の最低価格を1皿税込120~150円とし、1984年の創業以来続けてきた「1皿税抜き100円」での提供を終了することを明らかにした。背景には、ロシアのウクライナ侵攻にともなうロシア産水産品の禁輸・物流網の制限による水産物の価格上昇、また漁獲量の減少がある。もともと原価率の高い回転すしチェーンでは、昨今の急激な円安も重なり、今後も大幅なコスト上昇は避けられそうにない。

好調なすし業態であっても、やはりFLコストのコントロールが鍵となる。コロナ禍において復調を目指すなら、飲食店は集客回復を図るとともに、コストの抑制にも積極的に取り組む必要があるだろう。

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小晴

ライター: 小晴

美容系雑誌編集者・ライターを経てフリーライターに。品川区のローカルニュースサイト「品川経済新聞」記者として、多くの飲食店取材に携わる。趣味は食べ歩き・飲み歩きと銭湯。