大手外食チェーン、44%が値上げを実施。業態別ではファストフードが最多

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東京商工リサーチは7月15日、大手外食チェーンの値上げや価格改定についての調査結果を発表した。その結果、調査対象となった120社のうち53社(構成比44.1%)が、2022年1月以降に値上げや価格改定を行っていたことがわかった。
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調査対象:国内の大手外食業者120社
対象期間:2022年1月以降
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値上げ実施の飲食業態1位はファストフード
2022年に入ってからメニューの値上げや価格改定が行われたのは120社のうち53社、ブランド数は66にのぼる。業態別に分けると、最も多かったのは66のうち11ブランドを占めるファストフード業態だ。今春には日本マクドナルドやロッテリア、サブウェイなどが値上げを発表。ケンタッキーフライドチキン、モスバーガーがそれに続き、国内大手のファストフード店が相次いで価格改定を表明したことは記憶に新しい。次に多い業態は、ラーメンチェーンを含む中華ブランドが9ブランド。コーヒーチェーン、ステーキ・焼肉がともに8ブランドと続く。

「東京商工リサーチ」調べ
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値上げした大手外食ブランドの8割が「原材料高騰」を理由に価格転嫁
値上げをした66ブランドにその理由を聞くと、8割以上が「原材料高騰」を上げている。昨秋から続く原油価格高騰や円安、ウクライナ情勢をうけて輸入食材が高騰していることが主な原因だと考えられる。上記で示したように値上げが行われた業態の中心となった、ファストフードや中華、コーヒー店などの業態では、小麦や肉、コーヒーなど、輸入食材に依存している。輸入食材の仕入れ割合が多いからこそ、たとえ大手企業といえども販売価格への転嫁が避けられなかったのだろう。

「東京商工リサーチ」調べ
また値上げ率は「5%以上10%未満」とした企業が約58%と、全体のボリュームゾーンになっている。一方で「10%以上」とした企業は約20%もある。その内訳は、ファストフードやコーヒー店、回転寿司など単価の安い業態が中心だ。安価な分、結果的に値上げ率が高くなっていると読める。

「東京商工リサーチ」調べ
この春以降に行われた価格転嫁は、今年に入って本格化した輸入食材の高騰が主な理由としてあげられる。しかしながら、高止まりする燃料費よって物流コストも上がっている。また3月下旬にまん延防止等重点措置が全面解除されてからは、労働力の需要が一気に高まり人件費の高騰も見られる。あらゆるコストアップによって、外食業界ではより一層の値上げを余儀なくされる苦しい状況だが、値上げが招く消費者離れはなんとしても阻止したい。大手企業にとっても厳しい状況が続いている。
