飲食店の原価率調整に限界迫る。10月までに食品6,500品目超が値上げ

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帝国データバンクは9月1日、食品主要105社における価格改定動向調査を発表した。国内のさまざまな物品やサービスで値上がりが続く昨今、食品会社でも商品の値上げが相次いでいる。円安・原油高・原材料費高騰のトリプルパンチをくらった食品業界。結果として、春夏を上回る“値上げの第3波”が押し寄せている。
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政府は小麦粉の価格を据え置く方針。“値上げ第3波”も11月には落ち着く気配
上場している食品105社の価格改定計画を調査した結果によれば、8月末までに累計2万56品目の値上げが判明している。9月には2,424品目、10月には年内最高の6,532品目で値上げが行われる予定。各品目の価格改定率は平均で14%に達する。
一方、10月に2割以上の値上がりが想定された小麦粉の価格は、政府の方針によって据え置かれることに。そのため、11月には一旦、値上げの波が落ち着く見込みとなっている。とはいえ、断続的な食品の値上げは、2023年でも続いていく予想だ。

帝国データバンク「食品主要105社」価格改定動向調査(9月)より
ハムやソーセージなどの「加工品」が8,000品目を超えて値上げへ
主な食品分野の価格改定における今後の動向に焦点を当てると、ハムやソーセージ、水産缶詰など「加工食品」の値上げ品目が最も多いことが分かった。「調味料」、「酒類・飲料」、「菓子」、「乳製品」を含む全品目のうち、8,530品目となる。「酒類・飲料」において新たな値上げは見られなかったが、10月にビール類や清涼飲料水で一斉値上げが予定されているため、懸念する飲食店は多い。
また乳製品では、原料乳などが値上がりしているため輸入チーズの値上がりが続く。秋口にかけては、プロセスチーズなどの品目で値上げが目立つと予想される。

帝国データバンク「食品主要105社」価格改定動向調査(9月)より
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2022年内に値上げを実施する企業は昨年度の4倍に急増
主要食品企業105社のうち、2022年内に値上げを行う企業は82社。これは実に昨年度の4倍にあたる。
今年は小麦や食用油の高騰によって食材の価格が上がっただけでなく、原油高騰によって容器や包装資材の価格、物流費用が上昇したうえ、急激な円安が重なった。これが、食品を値上げせざるを得ない要因となっている。飲食店にとっては、大きすぎる打撃だ。
