次世代型の組織モデルで人手不足は解消する!? ティール型飲食店『肉汁水餃子 餃包』の挑戦

店内は台湾の九份(きゅうふん)の夜市をイメージした提灯などの装飾が施されている
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しっかりと仕組みをつくれば無駄な管理は不要
通常の業務に加えて店舗運営に関する意思決定なども行うとなれば、スタッフ個人の負担の大きさは働く側のデメリットではないだろうか。
「たしかにほかの飲食店に比べて個人の仕事量は多いので、『割に合わない』と感じて辞めるスタッフもいます。大変な部分はあるものの、時給だけじゃない経験を大きな魅力だと感じているスタッフが残ってくれているようです。うちで働いて、実力をつけて独立開業するスタッフも多いですし、全店コロナ禍でも存続しています」
現在、『餃包』の店舗には正社員が一人いるだけであとは全員アルバイトだという。ティール的な組織を導入しようと検討する経営者目線では、「ちゃんと回るのか?」と不安に思う人もいるかもしれない。
「自主管理型の組織とはいえ、店舗スタッフだけで回せる仕組みを会社が作ることは必要です。発注の自動化やキャッシュレス化など、店舗でやらなければならないことを減らしたり、漏れや抜けがないようにチェックする仕組みを作ったり、といった具合です。
スタッフがLINEグループで書いている日報も上司への報告ではなく、メンバー間で確認と情報共有をするためのもの。僕も読んでいない、というかグループにさえ入っていないのでどんな報告がされているかすら把握してません。このように仕組みをしっかり作り上げれば、そこまでべったり管理しなくても店舗は運営できることが実証できました」
現在、坂田氏は店舗の様子をたまに聞く程度。店舗の運営会社(株式会社アールキューブ)も2021年冬に弟の坂田茂氏に事業継承したとのこと
「組織づくりが目的になる」は失敗のもと
ティール組織のような自立型の運営はいいことづくめのように見えるが、「目的を履き違えないようにして欲しい」と坂田氏は釘を刺す。
「『餃包』に限らず、飲食店の必要条件は顧客満足と、売上・利益を上げること。必要条件をクリアし続けて始めてビジョン、ミッション、理念などに腰を据えて向き合えます。自立型組織としてコロナ前に店舗月商1500万円にまで伸ばせましたし、休業や時短要請で一時期は落ち込んだものの、現在は店舗月商1000万円というところまで戻しています。また、新規事業の方はさらに伸びそうです。
ではティール組織を取り入れれば売上は上がるのか、といえばそうでもないと考えています。うちの場合はティール組織を『導入』したつもりはなく、自分の頭で考え試行錯誤した結果、そうなっただけです。必ずしもそれが正解というわけではありません。成果がでないなら、ただの自己満足のおままごとです。組織づくりそのものが目的やゴールになるとだいたい失敗します。『導入する』というスタンスよりも、メンバーが無駄なことにエネルギーを浪費せず、目の前の顧客に向き合える環境づくりが大事で、組織形態の選択肢のひとつがティール組織だと思います」
人手不足、売上不振に悩む経営者は餃包やティール組織を参考にしてみるのも一つの手かもしれない。
『肉汁水餃子 餃包 六本木交差点』
住所/東京都港区六本木4-9-8
電話番号/050-3503-3119
営業時間/16:00〜23:45(土日祝12:00〜)
定休日 /第1月曜(祝日の場合は翌日)
席数/55
