21坪で月商1,000万円超え『肉野菜炒め ベジ郎』。「ありそうでなかった」が成功の理由
新型コロナウイルス感染症拡大によって、特に飲食業界や関連する業界は大きな影響を被っている。しかし、そのような状況でありながら「ありそうでなかった」アイデアを実現し、事業を成功させているのが株式会社フードサプライだ。
今回は肉野菜炒め専門店『肉野菜炒め ベジ郎』を展開する、株式会社フードサプライ代表取締役の竹川敦史氏に話をうかがった。
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ありそうでないことは浸透しやすい
2021年12月にオープンした『肉野菜炒め ベジ郎 渋谷総本店』はSNSなどから火がつき、またたく間に人気店となった。2022年4月には2号店となる『肉野菜炒め ベジ郎 池袋東口店』をオープン。10月には3店舗目が東大和にオープンする。
野菜炒め専門店というのはありそうでなかった業態だが、なぜ『肉野菜炒め ベジ郎』を展開しようと考えたのだろうか。
「まさにありそうでなかったからです。ありそうでないことは浸透しやすい、逆になさそうであることは浸透しにくい、と私は考えています。『そういえばなかったな』という事業は、社会にすぐ浸透するものです。もともとフードサプライを立ち上げたのも、農業の課題解決をしたいと考えたから。『肉野菜炒め ベジ郎』は野菜の供給量を増やしたいという思いでやっています」
フードサプライはもともと飲食業を主としているわけではない。野菜の卸として、野菜の新しい流通をつくることをビジョンとしている。例えば、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた頃は、社会的な行動制限があり、それを解決するために「ドライブスルー八百屋」という試みを実行した。
「コロナ禍になって、世の中を見渡してみたんですが、そのときに普段とは違う光景が見えたんです。ハンバーガーチェーン店の店内はガラガラなのに、ドライブスルーは大行列。そこに違和感があり、もしかしたらドライブスルーにしたらどんなことでもうまくいくのでは、と考えました」
ドライブスルー八百屋は、フードサプライのセンターに車で行けば、車を降りずに野菜を積み込んでもらえるという試み。これがメディアなどでも取り上げられ、多くの人がドライブスルー八百屋を利用した。
「ただ、私たちはドライブスルー八百屋での学びがあるんです。ビジネスは一過性ではだめだということ。コロナ禍が終わっても継続していかなければならない。そう考えたときに、店舗ビジネスを展開していこうと『肉野菜炒め ベジ郎』を始めました」
しかし、フードサプライはあくまでも卸。直営店を増やすことは考えておらず、フランチャイズで店舗を増やし、自社の野菜の卸先を増やすのが今後の展望だ。
「私たちは八百屋に徹したいと考えています。ただ、こういった業態の効果検証をお客さまの店舗でやるわけにはいかないので、私たちが直営店を出して効果検証をしているのです。直営店が成功すれば、この業態でやってみませんかという話もできます」