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「ミシュランガイド東京2026」会場レポート。『明寂』の三つ星昇格が示すグルメシーンの未来

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新三つ星の誕生で熱狂の渦に包まれた「ミシュランガイド東京2026」の発表会

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2025年9月25日、ウェスティンホテル東京で開催された「ミシュランガイド東京2026」発表セレモニー。世界一の美食都市である東京の最新トレンドと、新たに三つ星に輝いた『明寂』をはじめとする注目店の魅力を、現場の熱気とともにレポートする。

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“世界一多くの星が輝く都市”、東京の今と未来

総掲載店舗数526軒、星付き店舗の総数は160軒と“世界一多くの星が輝く都市”の称号を19年連続で維持する東京。日本ミシュランタイヤ株式会社代表取締役社長の須藤元氏が「東京のグルメシーンは成熟しているだけでなく、ダイナミズムが加速し、世界の最先端として新陳代謝を続けている」と語るように、“美食の都”としてレベルの高い競争が日夜繰り広げられている。そのトップランナーたちの活躍を知るほどに、未来のグルメシーンも見えてくるだろう。

壇上で記念撮影を行う今年の受賞者たち

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発表セレモニーは須藤氏の挨拶に続き、メンターシェフアワードの発表からスタート。受賞者は『野田岩 麻布飯倉本店』の5代目、金本兼次郎氏だった。

97歳の現役鰻職人として、今も最前線に立ち続ける金本氏。鰻文化の発展に尽力し、フランス・パリにまで姉妹店を展開するなど、鰻の魅力を発信し続けてきた人物だ。老舗鰻店の5代目として生涯現役を貫き、6代目の息子、そして7代目の孫にまで職人の仕事を継承。代理出席した7代目・健太郎氏の凛とした立ち居振舞いからも、次世代を担う若手の育成が順調であることが伝わってきた。

後継者不足や少子高齢化が課題となっている日本。衰えを知らず、指導者として模範を示し続ける姿は、多くの職人たちにとっての理想形であり、多世代共働のモデルとしても大きな存在だ。

「人を育て己も育つ。生涯一職人として自分の選んだ道を誇りに思ってくれるよう、少し先を歩いて行こうと思っています」と金本氏からのメッセージが届けられた

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昨今の飲食業界は女性の活躍も顕著であり、サービスアワードは『飄香/Piao-Xiang』の統括マネージャー・熊谷泰代氏が受賞。オーナーシェフの井桁良樹氏を支え、銀座と六本木の姉妹店を統括するリーダーシップと、接客では空間の演出や食事体験の全体像に細やかな配慮を払い、流暢な説明でシェフの情熱とレシピの意図を伝えることが評価された。

熊谷氏は壇上で「サービスマンとしての大きな目標だった」という受賞の喜びを語った

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ソムリエアワードの受賞者は『マノワ/MANOIR』のマネージャー兼ソムリエ・中村豪志氏。フランスワインの専門家として、ゲストの好みに合わせたペアリングと魅力的なストーリーテリングにより、食体験を豊かにする姿勢が称えられた。

壇上で中村氏は喜びの言葉とともに、支えてくれた人たちへの感謝を涙ながらにコメント。昨年新設されたばかりのソムリエアワードであるが、早くも大きな意味を持つ賞として業界に浸透している。

ハンターとしての顔を持ち、ジビエの専門家でもある中村氏。狩猟従事者の収益向上のための取り組み、農業被害の減少への貢献など、ソムリエの枠に収まらず、食に関わる知識を社会貢献にまで昇華させてきた。野生動物による被害が急増する日本において、活躍の場は今後も広がるだろう。

北海道に解体場を設立し、商品開発などを通じジビエの魅力を普及する中村氏

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。