「ミシュランガイド東京2025」発表会レポート。『セザン』など掲載店から読み解くグルメシーン
ソムリエ部門が新設されたスペシャルアワード
「ミシュランガイド東京2022」からはじまったのが、店ではなく個人を評価するスペシャルアワード。業界発展に貢献するシェフが対象の「メンターシェフアワード」、優れたおもてなしを行う人物を称える「サービスアワード」に加え、「ミシュランガイド東京2025」からは「ソムリエアワード」が新設された。
ワインの専門知識やサービス技術に優れ、料理との組み合わせを熟知し、ゲストに的確なアドバイスを行うスペシャリスト。その象徴的な存在として初の「ソムリエアワード」を受賞したのが『エスキス』の若林英司氏である。ワインスクールの講師、雑誌のコメンテーター、料理番組で料理と美酒の楽しみ方を提案するなど、日本におけるワイン文化の発展に尽力している点が評価されていた。
「メンターシェフアワード」を受賞したのは銀座や丸の内にある『鮨 かねさか』の代表、金坂真次氏。日本だけでなくシンガポール、香港、イギリスなど国内外で10店舗以上を展開し、寿司業界の発展に力を尽くしてきた姿勢が料理人の模範であると紹介された。
受賞者本人は欠席となったが、その理由について「この10年、寿司店の倒産件数が最大になり、職人の高齢化も進み続ける一方です。江戸から繋がる伝統文化を後輩たち、これからを生きる子どもたちのために伝え続け、さらに発展させていくために精進していきたいと考えています。そのため、古臭い考えだと若者には嫌われるかもしれませんが、今日も板場に立ち続けたいという思いがあり、授賞式を欠席させていただきたいことお詫び申し上げ、挨拶に代えさせていただきます」といったコメントを寄せていた。
「サービスアワード」を受賞したのは、『スィークル』の支配人兼ソムリエとしてチームを牽引する安井理恵氏。長年海外で活躍してきた実績、数ヵ国語を操り世界中のゲストを安心させるスキルなどが評価された。壇上では「いままでスポットの当たらなかったサービスマンたちの代表として」と感謝を表した安井氏。「レストランは料理が50%、サービスが50%」といった自らの考えも伝え広めていた。
