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「ミシュランガイド東京2026」会場レポート。『明寂』の三つ星昇格が示すグルメシーンの未来

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楯を贈呈される『明寂』の料理長・中村英利氏

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新三つ星『明寂』が示す“水の豊かさ”という価値

2022年の開業からわずか1年で二つ星を獲得し、今年ついに三つ星へと昇格したのが日本料理『明寂/Myojaku』だ。

インスペクター(覆面調査員)の心を掴んだ大きな要素が、日本の「水の豊かさ」を巧みに表現したこと。海水の塩分で野菜の甘みを引き出す技法を用いるほか、海水を貝類由来のコハク酸と調和させ、蕎麦つゆにまで活用するなど、自然界への謙虚さと、大胆な調理の両立が高く評価されたようだ。

壇上では緊張のため「口のなかがカラカラです」と切り出した中村氏

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スピーチでは周囲の人々への感謝の言葉ともに、本質的な“日本の豊かさ”について思いを語った。

「日本の豊かさは、一産業の前にある“ゼロ”に宿ると考えています。山や海、水や土、風や光、その当たり前の恵みのなかで私たちの営みは続いています。どれほど文明が進んでも食べるという行為は、その“ゼロ”に直結しています。その原点に思いを馳せて、これからも真摯に料理と向き合い、皆さまの心に少しの余韻を残し、静かな記憶へと繋いでまいります」

伝統と革新、多国籍な食文化とサステナビリティの融合により、世界をリードし続けている東京の美食。新三つ星店である『明寂』が“水の豊かさ”を表現したように、気候変動や資源の課題が浮き彫りになるなか、飲食業界はさらなる試行錯誤を通じて、持続可能な食の未来を切り開くだろう。東京の星々が照らすその道は、世界のグルメシーンの羅針盤ともなるに違いない。

今年も12軒が三つ星評価を受けた東京。世界最多の三つ星都市として美食の未来を牽引する

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■三つ星評価(そのために旅行する価値のある卓越した料理)を受けた12店(★★★)
『カンテサンス』(フランス料理・品川区)

『神楽坂 石かわ』(日本料理・新宿区)

『青空』(寿司・中央区)

『ロオジエ』(フランス料理・中央区)

『セザン』(フランス料理・千代田区)

『龍吟』(日本料理・千代田区)

『麻布 かどわき』(日本料理・港区)

『かんだ』(日本料理・港区)

『茶禅華』(中国料理・港区)

『明寂』(日本料理・港区)

『レフェルヴェソンス』(フランス料理・港区)

『ジョエル・ロブション』(フランス料理・目黒区)

■「ミシュランガイド」公式ウェブサイト

※本稿はここまで。次ページからは、過去に開催された「ミシュランガイド東京」セレモニーの概要をお伝えします

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。