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大繁盛の『活惚れ』『オ山ノ活惚レ』。常連客を逃さない新戦略は「会員制&紹介制」!?

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2019年にオープンした『オ山ノ活惚レ』も好調。今年12月に新店オープンを控えるオーナーの松永氏

「2018年に独立し1店舗目の『活惚れ(かっぽれ)』を出した時は、とにかくお店の売上を上げるために、ただただ自分でがむしゃらにやっていました。あれから4年経った今思うことは、人が大事だということ。各店のお客様や一緒に働いてくれるスタッフを大事にするために、経営に対する考え方も変わりました」

そう語るオーナーの松永大輝氏。『活惚れ』はオープン後、間も無く繁盛店に成長し、Foodist Mediaでもその経営術を紹介した。その後、2019年12月には2店舗目となる『オ山ノ活惚レ(おやまのかっぽれ)』、会員制居酒屋『(惚)オ向イ上ル(おむかいのぼる)』と続き、今年12月には紹介制居酒屋のオープンを控えている。快進撃を続ける松永氏の歩みと、それと共に進化してきた戦略を辿る。

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SNSの力と、スタッフを思う経営でコロナ禍を乗り越えた

1店舗目の『活惚れ』は渋谷の閑静な住宅地・鶯谷町で、地域に寄り添う店としてオープンした。周辺に住むの常連客に支えられてきたが、瞬く間に人気が広がり予約無しでは入店困難に。ふらりと気軽に入れる店では無くなってしまった。そこで新たにオープンしたのが『オ山ノ活惚レ』だ。『活惚れ』から徒歩5分、代官山へと上る八幡通り沿いのビル2階に店を構えた。

『オ山ノ活惚レ』は『活惚れ』と同じく魚介を使った料理を中心に、あらゆるジャンルの料理が幅広く揃う。ドリンクもオールジャンルの構えだが、『活惚れ』が日本酒中心なのに対し、『オ山ノ活惚レ』はナチュラルワインの品揃えが自慢だ。そのためワインに合うメニューも取り入れていて、「白子チーズリゾット」がこの店のシグネチャーメニューとなっている。

『オ山ノ活惚レ』は20代のお客様も多い。にも関わらず、そしてコロナ禍でも、客単価は8,000円~10,000円と4年前の『活惚れ』よりも上がっている。その秘訣は何なのだろうか。

「『オ山ノ活惚レ』の主な集客はSNSです。そのため20代のお客様が増えています。インスタグラムに載っている写真を見て、“この店のこの料理を食べたい”と店に来てくださるんです。今の若い人たちは昔よりも食にお金を使うことにあまり抵抗がない印象ですね。感度の高い店で料理を食べ、写真を撮ることがステータスになっているんです」

「白子チーズリゾット」のように、味の良さとともにオリジナリティとインパクトがあり、写真映えするメニューがSNS人気のきっかけとなった。そして、SNS人気による若いお客の牽引がコロナ禍を乗り越える支えにもなった。

シグネチャーメニューの「白子チーズリゾット」(2,000円)はInstagramでも人気

コロナ禍を乗り越えたもうひとつの要因は、スタッフを思った上での決断だった。

「当初は時短営業にも協力していましたが、早い段階で協力金を受け取らず営業する方針に転換しました。それは働いているスタッフの希望を聞いた上での判断です。うちは社員もいますが、フリーターのスタッフも多い。皆の生活を考えて、営業を再開することにしたんです。お客様と同じように、共に働く仲間たちも大事にしたいですからね」

感染対策には気を使いつつ営業を続けた結果、店は若いお客で連日賑わうように。また、スタッフには休みを増やし、拘束時間を短くして、給料を少しでも上げることを念頭に経営してきた。その結果、スタッフも1人も辞めることなく、体制を維持することができた。

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河崎志乃

ライター: 河崎志乃

デザイン事務所で企業広告の企画・編集などを行なった後、2016年よりフリーランスライター、コピーライター、フードコーディネーター。大手出版社刊行女性誌、飲食専門誌・WEBサイト、サステナブル・シーフード情報WEBサイト、医療従事者向け会員制WEBサイトなど、あらゆる媒体で各業界のトップランナーへの取材・執筆を行う。