ビストロ・バルブームの先駆け『maru2階』、今も月商1,000万超を誇る圧倒的強さの理由
カウンター中央に設置した炭火の焼き台
カウンター中央には炭火台が鎮座。「新鮮な食材をお客様の目の前で焼きたい」
さらに特徴的なのが、カウンターの真ん中に設けた炭火の焼き台。炭火焼きは肉や魚の串焼きをメインにしており、1本数百円からという気軽さもあって開業以来の名物メニューとなっている。
「毎日、築地に仕入れに行きますし、肉も芝浦に直接買い付けに行っています。食材には開業当時からこだわりをもっているので、新鮮な食材をお客様の目の前で焼きたいと考えました」
メニューはその他、フランス料理をベースに常時70品以上を用意。うち8割が定番で、季節ごとに1~2割を入れ替える。料理は、弟の裕次郎氏のほか、各階の料理長が担当。2階は勤続10年のシェフ、3階は有名フレンチで長年勤めたベテランシェフが腕を振るう。しっかりと技術のある料理人に調理を任せることで、クオリティを担保している。

人気メニューのカルパッチョ。素材は仕入れによって変わる ※画像提供/maru2階
酒屋が飲食店を運営する、これだけのメリット
『maru2階』で提供するワインは、約400種。1階の酒屋から購入して販売しているため、在庫を抱えることなく回せるのが利点だ。
「お酒の原価は正直、安くはありません。販促費と考え他店よりも抑えた価格で提供することで、お客様に価値を感じていただけているのだと思います」
抑えた値付けが「いいワインを安く飲める」という評判につながり、同店ではワインを飲むお客が圧倒的に多い。アルコールの売上比率は約6割を占めるほどだ。また酒屋側からの視点で見ると、仕入れの際に飲食店を経営していることが大きなアドバンテージになると弘一郎氏は話す。
「一般消費者向けの小売店よりも飲食店のほうが出数が多いため、試飲会やサンプル提供などをしてもらいやすくなるんです。『グラスワインでたくさん売るから』と交渉もしやすくなりますし、maruにとってもグラスワインが多く出てくれると売上が立つので、双方にメリットが生まれます」
加えて、酒屋のスタッフがmaruの売り方や料理を間近で学べるなど、スタッフの育成という面でもメリットが大きいという。また、コロナで2階・3階が打撃を受ける中でも、1階の酒屋は家飲み需要で売上を伸ばしており、複合店舗であることの強みは大きいといえる。

オーダーごとに削る生ハムは、1週間で原木1本がなくなるほど人気 ※画像提供/maru2階
