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ビストロ・バルブームの先駆け『maru2階』、今も月商1,000万超を誇る圧倒的強さの理由

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昼の弁当や夕方からの惣菜販売など、コロナ禍で強化してきたテイクアウトも復活予定 ※画像提供/maru2階

「安旨」をモットーに、原価や顧客管理を徹底し売上を伸ばす

開業して20年、愛され続ける店づくりの秘訣を弘一郎氏に尋ねると、「ぼちぼちの値段で、うまい料理と酒が飲めること」という答えが返ってきた。「“安旨”って、みんな好きでしょう。そこに近づけたいと思ってずっとやってきました」。言葉通りに受け取るとそれは、原価にこだわらず「これくらいの価格で食べられたらいいな」という消費者目線を大事にしてきたということになる。

とはいえ、店として赤字経営をするわけにはいかない。そこで厳密な数字管理の実施を提案したのが3年前に入社した店長の星野氏だ。10余年務めた大手飲食企業でのノウハウを活かし、まずはメニューのABC分析を行うとともに、原価をすべて洗い出し、適正な数字に調整した。

「売上比率の高い生ハムは原価を見直し、コスパがよくて人気のメニューは現状維持。原価40%を超えるメニューも多かったので、ポーションや付け合わせの内容などを工夫して、平均原価を38%にまで調整しました」

それでも原価率38%は決して低くはない数字だが、結果的に客単価を押し上げることにつながる。10年ほど前の客単価は4,000円程度だったが、コロナ前は6,000円、そして2022年の現在は8,000円となり、利益率の向上も実現した。さらに、新たな取り組みとして、来店客にアミューズの提供を徹底するようにした。

「アミューズは原価を抑え、利益率を高く設定しています。混んでいるとご注文の料理をお出しするまでに時間を頂いてしまうことも多かったので、お客様の不満解消にもつながりました」

ワインを売るには「お客との信頼関係を築くことが大事」と星野氏

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加えて、かねてより課題であった「客層の高齢化・固定化」に対処すべく、オンライン予約を取り入れて客層の若返りを図るほか、顧客管理を徹底。上客、新規客問わず顔を覚え、好みを把握するなどサービス面も改良を重ねることで、若い女性客なども増えてきたという。

現在は、コロナの影響で1年ほど休業していた3階の営業を再開するとともに、テイクアウトも復活させる予定だと弘一郎氏。同時に、1年前に立ち上げた酒屋のオンラインショップも、軌道に乗せていきたいという。複合店舗の強みを生かし、今後も攻めの姿勢で新しい時代を生き抜いていく意向だ。

1階のスタンディングバー。2階の料理も一部提供し、オペレーションを集約 ※画像提供/maru2階

『maru2階』
住所/東京都中央区八丁堀3-22-10 2F
電話番号/03-3552-4477
営業時間/16:30~23:00
定休日/日曜・祝日
席数/54席

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笹木理恵

ライター: 笹木理恵

飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo!ニュース個人」でも執筆中。 https://foodwriter-rie.com/