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「海外でシェフとして生きること」シンガポールで活躍する2人の日本人シェフの挑戦(前編)

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『ホワイトグラス』ダイニング

労働時間を考えて料理を設定する

「スタッフの働く時間はかなりきっちりしています。週44時間勤務、オーバーした分は残業代を出します。なので、スタッフの時間の使い方とタイムマネジメントはしっかりしなくてはならなくて、それはメニュー設定や料理の構成というところから検討して、お客様の満足度・使える時間・納得できるクオリティのバランスを縄田と話し合いながらやっています。

シンガポールにはマレーシア人のスタッフも多く、彼らと話すと一番の目的はやっぱり稼ぎたいと。なのでどうやったら稼げるかを一緒に考えようと、定期的に話をします。スタッフが大勢いたら楽だけどその分利益は出ないよね、という話にもなるんですよ。うちのキャパだと、他店はキッチンだけで10人以上スタッフがいます。でもそんなにいたら利益が出ても1人分の給料に繋がらないでしょと。そういう風にスタッフに方向性を示して、チームや店全体できっちりすり合わせをしています。

利益が出たらスタッフにもちゃんと還元できる構造を作ることで、みんなモチベーション高く働いてくれるし、それで自分も働きやすくなる。利益を独り占めしようとすると結局自分の首を締めますよね。

これからどんどんシンガポールは成熟して、周りの国もどんどん発展していくフェーズに入っていると感じます。アジアはまだまだ面白くなっていくし、日本や欧米で修業して力をつけた若い料理人が活躍できる場所はどんどん増えていくと思います」

慣れない場所で働くには、それがどんな地域であっても相応の難しさがつきものだ。異文化に触れることでこそ得られる経験値と新たな価値観は、その後の人生において必ず何らかの形で生かされるはずだ。
※後編は『Omakase@Stevens』シェフ・窪田修輔さんが登場(3月公開予定)

山下拓也(やました・たくや)
1986年、奈良生まれ。麹町『オー・プロヴァンソー』などを経て渡仏、パリ『エチュード』『レザンファンルージュ』で修業。帰国後、白金『シエル・エ・ソル』を経て、2019年、シンガポール『ホワイトグラス』シェフに就任。2021年より一つ星を獲得。

『Whitegrass(ホワイトグラス)』
住所/30 Victoria Street #01-26/27 Chijmes, Singapore
電話番号/+65 6837 0402
席数/40
https://www.whitegrass.com.sg/

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うずら

ライター: うずら

レストランジャーナリスト。出版社勤務のかたわらアジアやヨーロッパなど海外のレストランを訪問。ブログ「モダスパ+plus」ではそのときの報告や「ミシュラン」「ゴ・エ・ミヨ」などの解説記事を執筆。Instagram(@photo_cuisinier)では、シェフなど飲食に携わる人のポートレートを撮影している。