マグロブームの先駆者『マグロスタンダード』が月商600万円を突破。トレンドから「ブランド」へ

一番人気の「マグロスタンダード盛り」(780円 ※注文は2人前〜)
マグロの炙り、焼肉、煮込み。加熱調理の選択肢が豊富で、廃棄はほぼゼロ
提供するメニューの多くには、普段なら捨てられてしまう食材が使われ、サステナブルを体現している。
同店のメイン食材であるマグロは、色の劣化が早い食材だ。一般的には変色すると刺身で提供できないので、味は良くとも途端に価値が下がってしまう。しかし同店では、葱をのせて炙りにしたり、焼肉にしたりと、色の変化が気にならない提供方法が豊富だ。
「骨が多い部位なども、最終的にはすべて『魚の煮込み』として楽しんでもらいます。マグロ専門店として、マグロを食べ尽くすためのいろんな調理法を考えました。本当に捨てるところがないので、廃棄率はほぼゼロです」

「名物!煮込み」(530円)。骨付きマグロと野菜を煮込んだ、しっかり味のしみた一品
マグロ以外にも、キャベツの芯をキムチにしたり、葱の青い部分を薬味に使ったりと、いままで価値がないとされていた端材も買い取り、付加価値をつけて提供している。オープンから9か月で、総量500kg、金額にして約60万円もの廃棄食材や余剰在庫を買い上げた。食糧問題の視点でも、パートナー企業の売上貢献という意味でも、この実績は大いに価値のあることだ。

「お困り野菜の浅漬け」(530円)。カット野菜製造の際に出てしまう端材などをフル活用。食べて納得の箸休め
「値付けをハンドリングしやすい」という強み
また宮﨑氏は、こうした食材だからこそ、適切な利益が得られる価格設定にしやすいという。
「鶏の唐揚げを1,000円にするのは厳しいけど、マグロの内臓ならできます。何故なら、スーパーや市場ではあまり取り扱いがない食材だから。マグロの内臓に対するお客様の相場感覚がまだ確立されていないため、新たな価値を提案しやすいのです」
しかし、開業当初はある程度妥当な価格設定だったものの、昨年の物価高騰により利益率を調整する必要が出た。その際には単に売値を上げるのではなく、ポーションを減らしたうえでの値下げに踏み切った。
このように自社の利益を守りつつ、取引先企業の利益創造や顧客満足の向上、さらには社会課題の解決など、あらゆる立場にメリットを生む『マグロスタンダード』。こうした取り組みでテレビを始めとする数々のメディアに取り上げられ、それを見た人たちが連日店に足を運ぶという構図が出来上がっている。
