飲食店ドットコムのサービス

飲食店の4割が人手不足を実感。特にアルバイト・パートや夜間に働く人の不足が深刻化

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

画像素材:PIXTA

画像を見る

飲食業界では、コロナ禍以前から人手不足が大きな問題となっている。アフターコロナを見据えて客足が回復するなかで、飲食業界の人手不足はますます加速し、人材確保の重要性が高まりつつある。こうしたなか弊社が運営する「飲食店リサーチ」では、飲食店の現状を調査すべく、「飲食店における人材確保の現状」に関するアンケート調査を行った。本記事では、この結果を紹介する。

■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:415
調査期間:2023年1月26日~2023年2月2日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果:飲食店における人材確保の現状についてのアンケート

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち69.4%が1店舗のみを運営している。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は50.1%(首都圏の飲食店の割合は66.2%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

多くの飲食店がアルバイト・パート人材の不足を強く感じている

現在、従業員が足りているかという質問に対しては「とても不足している(11.1%)」「やや不足している(31.8%)」で、「不足している」と回答した飲食店は4割にのぼる。

一方、6割近くの飲食店が「足りている(57.1%)」と回答しているが、その内訳を見ると、「充分足りている」店舗は23.4%にとどまる。残りの33.7%は「何とか足りている」状況であり、飲食店の大半が余裕のない人的リソースで運営していることがわかる。

「現在、従業員数が充分足りている」という店舗は全体の2割にとどまる

画像を見る

従業員数が「とても不足している」、「やや不足している」と回答した方に、特に従業員不足を感じている雇用形態を尋ねたところ、最も多かったのは「アルバイト・パート(51.7%)」。次いで「アルバイト・パートと正社員の両方」(32.6%)、「正社員」(15.7%)と続いた。この結果から「不足している」と回答した店舗のうち、実に8割がアルバイト・パートの人手不足を実感していることがわかった。

従業員が足りていないと感じる店舗のうち、8割でアルバイト・パートが不足している

画像を見る

同じく従業員数が「とても不足している」、「やや不足している」と回答した方は、従業員が足りていない職種として「接客・配膳・清掃などのホール業務(65.2%)」「調理・仕込みなどのキッチン業務(50.6%)」を挙げている(複数回答可)。一方で「管理職(店長・マネージャーなど)(15.2%)」と回答した方は少数にとどまり、現場スタッフの不足が特に目立つ結果となった。

半数以上の店舗でホール、キッチンのスタッフが不足している

画像を見る

スタッフが不足しがちな時間帯は「土・日・祝日の夕方~夜(52.8%)」が最多で、「平日の夕方~夜(48.3%)」と続く。「土・日・祝日の午前(33.1%)」、「平日の午前~日中(32.6%)」と比較して、夕方から夜間の時間帯で人手不足が深刻化していることがうかがえる(複数回答可)。

土・日・祝日、平日問わず、夕方~夜間の時間帯はスタッフが不足しがちに

画像を見る

多くの店舗が実感する、飲食店の人材確保における効果的な手段とは?

こうしたなか、飲食店は人材を確保するためにさまざまな対策を講じている。人材確保のために活用している手段やサービスとしては、「求人サイト・アプリ(34.5%)」、「求人誌・フリーペーパー(21.7%)」といった、多くの人の目に留まりやすい媒体が目立つ。

そのほか「店舗の張り紙(30.4%)」や、「SNS(26.0%)」、「自社サイト(20.0%)」で人材募集する店舗も多い(複数回答可)。

人材募集の主流は求人サイト・アプリと店舗の張り紙という結果に

画像を見る

そのうち、特に有効だと感じている手段やサービスは「求人サイト・アプリ(22.4%)」で、他の手段・サービスを大きく上回る結果となっている。

スマートフォンやパソコンから手軽に閲覧できる求人サイト・アプリに支持が集まる

画像を見る

人材確保のため、自店で働くメリットをさまざまな角度からアピール

続いて、求人活動を行う際に特に意識していることを尋ねたところ、さまざまな声が寄せられた。

■近隣店舗より時給を高く設定
「時給を近隣店より高くする」といった回答が多かった。金銭面で他店と差をつけることで、求職者の目に留まりやすくなる。

■インセンティブ制度の導入
「頑張ったぶんが報酬に反映される給料体制」という回答も目立った。「頑張れば報われる職場だ」という印象を持ってもらうことが、働く動機につながると考えられる。

■福利厚生の充実・労働環境の良さ
「労働環境を整えて離職率を低く保つ」といった回答も多い。また「賄いや交通費を出す」ことで、一人暮らしの学生やフリーターを取り込む狙いも。

■融通が利きやすいシフト体制
その他に多かったのは、「曜日や時間帯を毎月自由に選べるシフト体制」など。試験直前の学生や、主婦が家族の予定に合わせて柔軟に働ける体制づくりを行っている。

6割超の店舗が「人手不足を補うテクノロジーを導入していない」と回答

人手不足を補う方法は採用活動だけではない。「食洗機・ロボット掃除機(17.1)」、「予約台帳・予約管理システム(16.6%)」、「セルフオーダーシステム(9.9%)」など、人に代わるテクノロジーを導入する店舗もある。

だが、過半数の店舗が「特になし(64.3%)」と回答するなど、こうしたテクノロジーの活用が一般的になっていないのも現状だ。

6割の店舗が人手不足を補うテクノロジーを導入していないと回答

画像を見る

アンケートの結果から、多くの飲食店では人手不足を感じており、さまざまな工夫をしていることがうかがえる。アフターコロナで客足が戻り、さらに人手不足が加速することも想像に難くない。店舗の運営において効率化できるところがないか、いま一度検討することも必要になるだろう。

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ
Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
小晴

ライター: 小晴

美容系雑誌編集者・ライターを経てフリーライターに。品川区のローカルニュースサイト「品川経済新聞」記者として、多くの飲食店取材に携わる。趣味は食べ歩き・飲み歩きと銭湯。