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渋谷に復活した『富士屋本店』、再開発で激動する街で「正直な酒場」を貫く

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テーブルオーダーも受け付ているが、各テーブルに設置されたQRコードでモバイルオーダーもできる

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飲食店は「正直な商売」だから手間暇かけて積み上げていくしかない

かつての『富士屋本店』があった場所に2023年11月30日に複合施設「Shibuya Sakura Stage」が竣工する。この施設内に富士屋グループの新店もオープンする予定だ。

「路面店とは違い、商業施設は一見さんも多く、海外のお客様も来るでしょう。酒屋が展開するお店を商業施設内の店舗でどう表現するか、浜町の料理長とソムリエ、経理担当者兼ワインバーで働くスタッフと私の4人で内容を検討中です。『立呑 富士屋本店』は新店舗の宣伝の意味合いもあります」(加藤氏)

元々実家は『大衆酒場 富士屋本店』の上にあり、生まれも育ちも渋谷の桜丘だとう加藤氏。100年に一度の渋谷の再開発をどう見ているのだろうか。

「昔の桜丘は議員の方々が車を止めてお店へ行くような街で、このエリアだけでスナックが50〜60軒近くありました。私は子どもの頃からそういったお店へお酒の配送をしていました。しかし最近は再開発の影響もあり、スナックは減り、個人店も少なくなり、チェーン店が増えてきたと感じます。今後の渋谷という街については、心配と楽しみな気持ちが半々ですね。とりあえずは商業施設に入る新店を成功させたいです」

最近では各店舗でInstagramの運用もスタート。それまで若い人はお金を使ってくれないと思っていたというが、しっかり良いものを作り、アプローチすればお金も使ってくれることがわかるなど、まだまだ新たな発見があるという。

「飲食店は正直な商売、わかりやすいビジネスです。手間暇かけてしっかり準備すれば良い反応がありますが、そうでないとすぐに見透かされてしまう。私は現場に出たいタイプの人間なので、7〜8店舗運営していた時は大変でした。今の5店舗がちょうどいいですね。変に会社を大きくしようとせず、身の丈にあった良い店を作りたいと思っています。売上を伸ばすことよりも、三方良しを意識したいですね」

今でも各店舗へ酒の配達を行うなど、週に一回はそれぞれの店舗に顔出しする加藤氏。出戻りスタッフも少なくなく、その人柄を慕うスタッフが多いことからもこの会社が作り上げる雰囲気がうかがえる。結局、長年街に愛される飲食店というのは、一つひとつのことを丁寧に積み上げ、人付き合いを大切に、愚直に良い食体験、酒場体験を届けたいと思う人がいるかどうかなのだろう。

『立呑 富士屋本店』
住所/東京都渋谷区桜丘町16-10
電話番号/03-6455-2473
営業時間/月〜金17:00〜22:00(L.O.21:00)、土16:00〜22:00(L.O.21:00)、日・祝15:00〜20:00(L.O.19:00)
定休日/なし
https://fujiyahonten.co.jp/stores/tachinomi/

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。