5類移行で飲食店のアクリル板パーティションはどうなった? マクドナルドなど大手は順次撤去
5月8日より新型コロナウイルスの感染症法上の分類が、季節性インフルエンザと同等の「5類」へと移行。飲食店に推奨されてきた感染対策ガイドラインも廃止となり、検温や飛沫防止対策などの実施は事業者の判断に委ねられることになった。これに伴い、感染対策として使用してきたアクリル板パーティションの保管・廃棄方法について悩む飲食店が増えつつある。
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不要になったアクリル板パーティション、保管すべきか廃棄すべきか……
新型コロナの5類移行に伴い、多くの飲食店で飛沫防止用のアクリル板パーティションが撤去された。撤去されたアクリル板の扱いについては「保管する」か「廃棄する」かの選択肢があるが、アクリル板は保管にスペースを要する上、廃棄する場合も「産業廃棄物」に分類されるため一般ごみとして廃棄することができず、基本的には業者に回収を依頼する必要がある。
東京都の小池百合子知事は4月14日の記者会見においてアクリル板について言及。「推奨というわけではないが」と前置きをした上で、「必要になった時に使用できるよう保管も」と続け、「廃棄や保管の仕方など、いろんなアイデアを国も含めて出していくことになる」との見解を示した。
マクドナルド、スターバックスはアクリル板の順次撤去を決定
大手外食チェーンでも、5類移行に伴い感染対策の縮小や終了を発表。飛沫防止用のアクリル板も撤去されつつあるようだ。
スターバックスコーヒーは5月8日以降の感染対策について、消毒用アルコールの設置と持ち込みタンブラーの事前洗浄のお願いのみとし、マスクの着用は客・従業員それぞれの判断に委ねる。また、レジやテーブルに設置していた飛沫防止ガードについては順次撤去を行うという。
マクドナルドも5月8日以降は従業員のマスク着用を任意とし、注文カウンターのアクリル板などの飛沫防止シールドを撤去すると発表。基本的な衛生管理や非接触式の注文・デリバリー等は継続するとしている。
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アクリル板のリサイクル・アップサイクルに乗り出す企業も
通常は再利用の難しいアクリル板パーティションだが、リサイクルを担う企業もある。
「緑川化成工業」(東京都)では、2022年末より不要になったアクリル板パーティションの引き取りを開始。同社はプラスチック資源循環促進法に基づく認定を受けた第一号の会社であり、1年間に100トンのアクリル板を回収・再資源化する計画だ。5類移行でますます引き取りへのニーズが高まる現在、同社では法人向けに「飛沫防止パネル引き取りキャンペーン」を行っている。
▼緑川化成工業「飛沫防止パネル引き取りキャンペーン」
また、廃棄アクリル板を素材に新たな商品を開発する「アップサイクル」を開始した企業も。「アサヒ印刷」(青森県)では、飲食店から回収したアクリル板をクリーニングした上で加工し、店内掲示用の案内パネルなどに作り変える取り組みを行っているという。
コロナ禍の飲食店の営業を支えてくれた大事な備品であったアクリル板パーティション。今回紹介した大手外食チェーンは撤去を行う方針を発表していたが、保管や廃棄についてはそれぞれの店舗で判断し、廃棄の場合は再利用についても検討すべきだろう。
