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東京初進出で月商1,500万円! 『徳田酒店』が打率10割で大ヒットを飛ばす理由

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別メニューに記載したおすすめの日本酒を含めてアルコールは約70品をラインアップし、中心価格帯は430~590円

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大衆酒場としてのアルコールメニューの価値を追求

大衆酒場の定番商品をメニューの下地としながら、店ごとにお客のニーズに合った最適化を図っているわけだが、この方針はアルコールメニューでも変わらない。

有楽町店のアルコールメニューは約70品をラインアップし、ビール、チューハイ、日本酒、焼酎など大衆酒場の定番メニューを網羅している。「刺身の品揃えに力を注いだのに合わせ、日本酒の品揃えを厚くしました」と太田氏は言うが、注目したいのがその商品ラインアップだ。

「金陵超辛口」(540円)や「竹生嶋 金紋本醸造」(650円)など日本酒は1合サイズで480~780円を中心価格帯として約20銘柄を常備。

「親会社が酒類卸業をしていますから、アルコールの品揃えには当然こだわっています。ただ、純米酒や吟醸酒ばかりを揃えると単価が上がってしまう。大衆酒場の相場を外さず、そのうえでクオリティーが高く、味わいのタイプが異なる銘柄をバランスよく揃えるようにしています」

写真左から、「金陵超辛口」(540円)、「呉春池田」(680円)、「竹生嶋 金紋本醸造」(650円)。日本酒は1合サイズのぐい呑み(写真手前左)で提供する

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東京進出にあたってレシピを変更したのがチューハイだ。大阪ではウォッカをベースにしているが「東京のお客様から『甘い』という指摘を受けた」(太田氏)ことから、アルコールを焼酎ベースに変更。また、大阪の『徳田酒店』ではお茶割りは提供していないが、「東京の大衆酒場では定番メニューだから」(太田氏)と、「緑茶ハイ」(430円)や「ウーロンハイ」(430円)などもメニューに加えるなど、東京の大衆酒場のニーズに合わせて品揃えを微調整している。

アルコールの提供スタイルにおいても大衆酒場としての価値を追求した工夫が随所に見られる。たとえば、「生ビール(アサヒスーパードライ)」(480円)のジョッキサイズ。「今はさまざまなサイズのジョッキがありますが、かつて大衆酒場の生ビールといえばこのサイズだった」(太田氏)ことから、500mlサイズのジョッキを使用。「日本酒もお猪口でちびちびと飲むのは大衆酒場らしくない」(太田氏)と、1合サイズの大ぶりなぐい呑みで提供している。

写真左から、「チューハイ 生レモン」(普通サイズ430円)、「生ビール(アサヒスーパードライ)」(480円)、「徳田ビアー」(480円)。徳田ビアーはビールに日本酒を注いで飲むオリジナルのビアカクテルだ

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平日でも、週末でも、昼間でも集客できる立地に出店

『徳田酒店』は大阪では京橋エリアと梅田エリアでドミナント展開しているが、こうした立地戦略もバリューの追求が前提になっている。「平日でも、週末でも集客でき、昼飲みニーズも吸収できる」(太田氏)ことがこのエリアを選択した理由。

「1週間をフルに使い、幅広い時間帯で集客できるからこそ原価をたっぷり投じることができるわけですが、この戦略は東京進出においても変わりません。ビジネスパーソンをメインターゲットにしているため、ビジネス街を出店エリアとして想定していますが、銀座が隣接し、商業エリアとしての性質も持ち合わせていることから、有楽町に出店することにしました」

有楽町店が入居している東京交通会館はJR有楽町駅の目の前に位置しており、アクセス至便。「施設内の飲食店にアルコール業態が少なかったため、昼飲みニーズがどこまでとれるのかが未知数でしたが、早い時間帯の集客が思った以上に好調だったことが嬉しい誤算だった」と太田氏は言う。

JR有楽町駅目の前にある複合ビル「東京交通会館」地下1階に入居。テナントとして外食24店が軒を連ねるが、食事業態が中心でアルコール業態は6店にとどまる

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。