飲食店の仕入れコスト再び上昇。卵・煮干し不足で6月は調味料・加工食品が多数値上げ
東京商工リサーチ(TSR)は、国内の主要飲食料品メーカー200社を対象とした価格改定・値上げについての調査結果を発表した。調査によると、昨年の円安などから続く値上げ傾向は5月で一旦収まったものの、6月の値上げは51社3,886品に及ぶ。
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6月は51社3,886品が値上げ。原材料不足が主な要因に
TSRの調査によると、2023年における値上げ品目数のピークは2月の5,470品目、値上げ企業数のピークは4月の66社だった。5月は21社707品目と1月並みの水準に戻ったものの、6月の値上げは51社3,886品と再び増加。2023年1月からの出荷・納品分で、値上げを公表したのは156社2万5,362品に達した。
企業における値上げ率は「10%以上20%未満」が85社と最も多く、続いて「5%以上10%未満」が33社、「20%以上」が15社となっている。「20%以上」は「卵加工品」や「だし・つゆ類」などの原材料不足が目立つ食品で顕著だった。
また、値上げの理由を見ると、「原材料」が2万3,934品(構成比94.3%)で最も多い。続いて「資源・燃料」が2万1,304品(構成比83.9%)、「資材・包材」が1万6,509品(構成比65.0%)。燃油価格の上昇などは一旦落ち着いたが、再び上昇する傾向も見られる。
値上げの品目数は調味料が加工食品を抜いてトップ。7月も多くの品目が値上げ予定
分類別で値上げ率を見てみると、最も高いのは食用油の25.5%。背景にはオリーブオイルなどの輸入品を中心とした大幅な価格改定がある。続いて、冷凍食品(14.4%)、飲料・酒(13.7%)、加工食品(13.2%)、麺類(12.7%)、調味料(12.3%)となっている。
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また、品目数では調味料が最も多い6,945品(構成比27.3%)となり、6,711品(構成比26.4%)の加工食品を抜いた。マヨネーズなどの原材料となる卵や、つゆ・たれに使われる煮干し・サバ節などの不足、カツオの相場の上昇などが大きな要因とみられる。調味料や加工食品を多く使うような飲食店にとって、今回の値上げによる負担増は特に大きいといえるだろう。
TSRの調査によると、7月も40社3,356品が値上げを予定しており、飲食店にとって厳しい状況が続く見込みだ。
