10坪で月商600万円超の恵比寿『amme』。元大手証券マンが飲食業界に革命を起こす
居心地がいいと感じてくれれば、SNSも自然に拡散してもらえる
自主的な営業とは、お客へのホスピタリティそのものでもある。「今日は暑かったな」という一言があれば「レモンサワーに塩、入れときました!」と気遣ったり、「このメニュー食べたことないけれど、どんなもの?」という問いには、満足いく回答でオーダーにつなげる。店側から「SNSにアップして」とお願いすることもあるそうだが、そうしたことをしなくても、居心地よく感じたお客は自然と投稿を拡散してくれるという。集客に関しては、SNSを駆使する特別なテクニックがあるのかと思いきや、原点は人情味にあふれている。
そして最後は「常連さんシート」でクロージング。その名の通り常連客用に用意する席のことだが、常連客だけに伝える携帯電話番号を設け、どんなに混んでいても2席は確保しておくのだという。新規客は歓迎だが、常連も大切にする姿勢がうかがえる。
「電話というアナログ方式を採用したのはスタッフのアイデア。もう現場で稼ぐ力は負けちゃいそうですよ」と笑う佐藤氏。スタッフへの深い信頼と、包み込むような懐深さが垣間見える。
画像を見る「自分だけが利益を得るのはダサい」。取引業者まで佐藤氏のファンに
原価率を10~30%に抑えるための工夫も特徴的だ。「よく出るメニューに絞る」「看板メニューを一気に仕込んでロスが出ないように」とは、よく聞く対策だが、ここでも佐藤氏の「営業力」が光る。
「ニューホッカイドースタンダード」を実現する鮮魚は、仲のいい漁師が北海道から郵送料のみで送ってくるという。営業利益を左右するアルコール類は、大手チェーン店並みの価格設定で仕入れられるよう交渉した。しかし「自分だけが利益を得るのはダサい」と考えるのが佐藤流。顧客を十数件紹介して、酒卸店とWin-Winの関係を築いた。
「もちろん最初はビジネスなんですけれど、途中からファンになってくれる瞬間があるんですよ。ファンには恩返ししたくなるじゃないですか」
取引先は、佐藤氏のファン。原価率を抑える理由は意外なところにあった。そして店のお客は、いつしかスタッフのファンになっているという。
「まさにファンビジネスですよ!芸能会社、キャバクラのような一面もあるかな」
佐藤氏らしい言葉で、豪快に笑いながら、『amme』を表現する。
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