3年目の若手が銀座で寿司を握る! 名門『銀座おのでら』が仕掛ける新しい人材育成システム
世界4地域で13店舗を展開(2023年8月23日現在)し、ミシュラン獲得店を次々と輩出するONODERA GROUPが手掛ける“立ち食い”寿司店が話題を呼んでいる。『鮨 銀座おのでら 登龍門』では、入社3年目の若手が総本店と同じネタを握り破格値で提供する。多くの老舗・名店が軒を連ねる寿司の聖地・銀座で、あえて若手を付け場に立たせる新業態店を展開する狙いを、世界統括総料理長・坂上暁史氏にうかがった。
>>求人掲載1か月19,800円が今なら15,000円! 求人飲食店ドットコムで初トクキャンペーン実施中
『鮨 銀座おのでら 登龍門』が提案する令和の寿司修業
寿司業界が直面する深刻な問題。それは“職人不足”だ。人材不足はどの業態にも限ったことではないが、寿司業界が抱える問題は、他とは大きく異なる。
一人前の寿司職人になるには、長い修業が必要だと言われている。入店してしばらくは「追い回し」と呼ばれる下積み生活で、店の掃除や洗い物などに明け暮れる日々が続く。数年後「手子(てこ)」(寿司職人の助手)に昇格し、やっと職人の手伝いを許される。
しかし、まだ寿司を握れるわけではない。晴れて付け場(カウンター)に立てるまでには、「先輩の技を見て学ぶ」10年近い厳しい道のりが待ち受けているのだ。そのため寿司職人は、離職率の高いと言われる業種なのだ。
そんな職人世界の育成スタイルを覆した寿司店が、2022年4月にオープンした『鮨 銀座おのでら 登龍門』(以下『登龍門』)だ。キャッチフレーズは「お客様に育てていただく鮨店」。この店では入社3年目からの若手が付け場に立ち、実践の場で技や接客術を磨いている。
同店は立ち食いスタイルで、自分のスマホから注文するモバイルオーダー制を採用、お好み寿司を一貫から楽しめるなど、カジュアルさをアピールしている。しかし提供されるネタは、同店と目と鼻の先にある『鮨 銀座おのでら 総本店』とまったく同じものというから驚きだ。総本店は夜の握りコースが27,500円する高級店である。『登龍門』ではそのネタを総本店の約1/3~1/5の価格で楽しめるのだ。
この価格設定は、いわば若手職人の「勉強代」である。銀座の客は彼らにとって最高の先生だ。若き職人の味や対話を楽しみながら、時に気づいた点を指摘して欲しい、リピーターとなって若手を育てて欲しい……。そんな思いがこの料金には込められている。店にとっても客にとってもWin-Winのシステムで、連日の行列ぶりもうなずけるというものだ。
