エッグショックで注目が集まった『代替卵』。改めてメニューへの活かし方を探る
2023年に入って、飼料の高騰や鳥インフルエンザなどの影響で「物価の優等生」ともいわれた卵が品薄となり、価格も高騰。「エッグショック」と呼ばれる事態にまで発展した。現在は供給は安定してきており、エッグショックの緩和も期待されているが、そのような状況の中で注目を集めたのが「代替卵」である。今回は、代替卵のメリットやデメリット、導入事例などについて解説する。
【注目記事】『下北六角』16坪で月商1,100万円超え。2TAPSの「勝利の方程式」を探る
代替卵とはどんなもの?
代替卵とは、大豆やえんどう豆などの植物性原料を使って、鶏卵の風味や見た目などを再現した食品のこと。
卵液と同じ感覚で調理できる液体タイプや、スクランブルエッグを再現したものなど、用途に合わせたさまざまな商品がある。代替卵は鶏卵と比べて生産の過程で使われる水の使用量や二酸化炭素排出量が少なく、環境負荷も少ないという特徴がある。
代替卵を利用するメリットとは?
では、代替卵にはどのようなメリットがあるのだろうか。
代替卵は植物性原料を使用しており、卵や乳製品を口にしない菜食主義者であるヴィーガンにも対応した食材である。また、卵アレルギーの人でも代替卵を使用した疑似的な卵料理を楽しめるので、食事の幅が増える。
また、代替卵は鶏卵と比べて飽和脂肪酸やコレステロールが少なく、動脈硬化や心筋梗塞などが気になる人にも適した食品だといえるだろう。加えて、鶏卵よりもカロリーが低いというのもポイントだ。
代替卵のデメリットとは?
代替卵には多くのメリットがあるが、一方で値段が高いというデメリットもある。鶏卵と比べた場合の値段は以下の通り。
「Ever Egg(エバーエッグ)」…1袋130グラム、390円
ほぼたま…1袋60グラム、182円~214円
鶏卵…10個入り305円(※Lサイズの鶏卵が1個約60g)
代替卵は注目を集めているものの、現状は商品数も少ないため、鶏卵のように気軽に購入できないのもデメリットだ。しかし、最近では大手企業も代替卵の商品を販売するようになってきたため、今後は価格や入手しやすさといった状況も変わってくるかもしれない。

カゴメと2foodsが共同開発した「Ever Egg(エバーエッグ)」 画像引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000089.000043581.html
代替卵の代表的な商品と導入事例
続いては、代替卵の代表的な商品と導入事例を紹介する。
まずは、プラントベースフードブランドの「2foods(トゥーフーズ)」を展開する株式会社TWOとカゴメ株式会社が共同開発した「Ever Egg(エバーエッグ)」だ。原材料にニンジンと白いんげん豆を使用し、独自技術の「野菜半熟化製法」を用いることで、「ふわとろ食感」を再現したもの。大豆を使っていないため、コレステロールゼロなのが特徴だ。
キユーピーは、卵に精通したキユーピーグループの技術を活かし、「HOBOTAMA(ほぼたま)」を製造・販売している。植物性原料を使用した「HOBOTAMA 加熱用液卵風」と「HOBOTAMA スクランブルエッグ風」の2商品を展開。「加熱用液卵風」ではプリンやチャーハン、クッキーなどを作ることができる。
また、コメダ珈琲店のメニューを植物由来にした喫茶店『KOMEDA is □(コメダイズ)東銀座店』では、「プラントベースミックスサンドプレート」を提供している。このミックスサンドプレートでは、キユーピーの「HOBOTAMA(ほぼたま)」を使用。ヴィーガンメニューでありながら通常のミックスサンドと遜色ない味わいで人気となっている。
【注目記事】空中階でも坪月商46万円。北千住『ジャンソーアタル』が当たったワケ
代替卵を使ったメニュー開発や提供の際の注意点
卵の品薄は解消されつつあるが、ヴィーガン対応などで代替卵を使ってメニューを開発・提供しようと考える飲食店もあるだろう。鶏卵の代わりに代替卵を使う際にはどのような点に注意したらいいのだろうか。
■生食の提供ができない
基本的に液卵タイプの代替卵は加熱を前提としているため、もともと加熱して提供していたメニューの代替にはなり得るが、生食で提供する卵の代替にはならない。加えて、鶏卵とまったく同じ味わいになるわけではないという点にも注意したい。
■アレルギーへのリスク
代替卵の多くには大豆が使われており、原材料がアレルゲンとなる可能性があるだろう。代替卵を使ったメニューを提供する場合は、使用されている原材料について周知しておかなければならない。
■原価が高くなる
代替卵は現状、鶏卵よりも価格が高い。使用するときには、まずそこを考慮する必要があるだろう。
ヴィーガンなどにも対応でき、メニューの幅を広げる新しい食材「代替卵」。インバウンドやベジタリアン対応に注力している飲食店は取り入れて損のない食材のひとつである。
