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2023年の飲食店倒産件数、すでに昨年を上回る。過去最多を更新する可能性も

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画像はイメージ。画像素材:PIXTA

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東京商工リサーチが調査した2023年1月から8月の「飲食業の倒産動向」によると、8月時点で飲食業倒産件数は569件となり、昨年2022年の年間(1月〜12月)倒産件数を上回った。このまま推移すると、年間倒産件数が過去最多を更新する可能性も出てきた。今回は、東京商工リサーチの調査結果をもとに、2023年1月から8月の飲食業倒産の状況について紹介する。

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1月から8か月連続で増加率50%超。月平均倒産件数は71.1件に

2023年に入ってから、飲食業の倒産件数が増加している。2022年11月から10か月連続で前年同月を上回り、増加率は1月から8か月連続で50.0%を超えている。その結果、8月時点で2023年の飲食業倒産件数は569件となり、2022年の年間倒産件数522件を上回った。2023年8月までの月平均倒産件数は71.1件で、このまま12月まで推移すると、2020年の年間倒産件数842件を抜いて過去最多を更新する可能性もある。

「飲食業倒産月次推移」東京商工リサーチ調べ

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業種別で増加率が最大だったのは、「宅配飲食サービス業」の前年同期比192.8%増だ。さらに、「持ち帰り飲食サービス業」が145.4%増、「専門料理店」が103.1%増、「食堂、レストラン」が100.0%増と続く。これらの業種と「喫茶店」は、8月時点ですでに2022年の年間倒産件数を上回っている(図表に記載なし)。

1〜8月の倒産件数は、「食堂、レストラン」の140件が最多、続いて「専門料理店」の130件、「酒場、ビヤホール」の118件となっている。

「2023年(令和5)年(1~8月)飲食業 業種小分類別倒産状況」東京商工リサーチ調べ

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倒産の原因は「不況型」が全体の88.5%を占める

倒産の原因を見てみると、最多は「販売不振」の468件で、前年同期比85.7%増となっている。飲食業の人手不足に伴う人件費の高騰をはじめ、食材価格、光熱費のコスト増も背景にあるだろう。倒産原因はさらに、「既往のシワ寄せ」36件、「他社倒産の余波」28件と続く。

「販売不振」468件と「既往のシワ寄せ(赤字累積)」36件を合わせると504件となり、全体的にいわゆる景気悪化の影響を受けた「不況型」倒産の傾向がある。実際、すべての原因のうちの88.5%を「不況型倒産」が占めている。

「2023年(令和5)年(1~8月)飲食業 原因別倒産状況」東京商工リサーチ調べ

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飲食店に対する新型コロナ関連の支援策は終了・縮小しているが、2023年8月末に実施した飲食店リサーチの調査によれば、売上がコロナ以前の水準に戻らない飲食業者は6月時点で半数以上(52.6%)に達する。飲食店倒産件数の増加には、こうした状況下に価格高騰やゼロゼロ融資の返済負担などが大きく影響しているものと見られる。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com