『角打ち割烹 三才』も絶好調の青二才グループ。再開発が進む中野で先手先手の店づくり
JR中央・総武線、東京メトロ東西線が乗り入れる中野駅周辺では、「100年に1度」とも言われる再開発が行われおり、現在11もの計画が進行中だ。2023年7月2日には中野区のシンボルともいうべき「中野サンプラザ」が閉館。同地にはホテルや多目的ホール、オフィスや住居、商業施設からなる新施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」が2028年度に完成予定など、2029年までにかけてさまざまな再開発が進行している。
そんな再開発に伴う周辺地域の変化に合わせて、2021年にオープンしたのが『角打ち割烹 三才』だ。手がけるのは『中野青二才』『青二才はなれ』など、10年以上前から中野周辺で飲食店をドミナント展開している株式会社青二才。代表の小椋道太(おぐら・どうた)氏に再開発によって中野がどのように変化しているのか、飲食店事業者としてどのように再開発と向き合っているのかを聞いた。
【注目記事】若者に日本酒の「ミスマッチ」が大ヒット。月商600万円『中野青二才』に繁盛の秘訣を聞く
家賃は更新の度に上昇。この10年で遠方から訪れる人が増えた中野
2007年9月、阿佐ヶ谷に1号店となる『青二才』(現在紹介制)をオープン。その後、2号店の物件を中央線沿線で探していたとき、小椋氏の目に留まったのが中野駅南口にあるレンガ坂のテナントだった。「当時のレンガ坂は寂れた雰囲気でしたが、物件自体にとても惹かれまして。駅からとても近く、自分たちで賑わいを演出できたら人も来てくれると考えました」と振り返る。2013年に日本酒バル『中野青二才』をオープンすると、目論み通り若者を中心に人気を集め、2020年にはすぐ裏手に小皿料理店の『青二才はなれ』もオープンした。
2013年に『中野青二才』をオープンしてから約10年、中野の街で飲食業を営んできた小椋氏に街の変化について尋ねると「これまでずっと南口で店舗を運営してきたので、南口のことしかわからないのですが、地元の人やオフィスワーカーが帰り道に利用するケースから、最近は遠方からわざわざ中野に来る方が増えたように感じます」と明かす。しかしそれは再開発による変化というよりも、レンガ坂商店街のブランド力向上が大きいという。
「ここ10年でイルミネーションを点灯するようになったほかにも、レンガ坂商店街の人たちで連携して街を盛り上げるようになりました。その結果か、以前よりも可愛らしいお店が増え、女性客やデート利用が多くなったと感じます。逆に中央線ならではのサブカルっぽい方の割合が相対的に減っているような気もしますね。訪れる方々の世帯年収も高くなっていると感じます」と話す。とはいえ、北口は居酒屋も多くゴチャゴチャしていて賑わいがあり、南口は静かで落ち着いているといった北口と南口の文化の違いは今も変わらないそうだ。
再開発による影響は現時点でどの程度感じているのだろうか。「マンション自体はできていますが、まだ入居されていないので、客足に関してはそこまで変化を感じていません。それよりもコロナ禍で出社からリモートワークに切り替わり、中野に本社のあるオフィスワーカーの方々が来店しなくなったことの方が影響を感じますね」と小椋氏は吐露する。再開発に伴い周辺の家賃相場も上昇しているかと尋ねると「店舗は3年ごとに更新になるのですが、更新の度に1割ずつ賃料が上がっていますね」と返ってきた。
