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『角打ち割烹 三才』も絶好調の青二才グループ。再開発が進む中野で先手先手の店づくり

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角打ちエリアもハイチェアで着席して飲食を楽しめる『角打ち割烹 三才』

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再開発を見越し『角打ち割烹 三才』で“高価格帯”にチャレンジ

そして2021年11月、今度は中野駅北口に『角打ち割烹 三才』をオープンさせた。店舗があるふれあいロードは飲み屋が軒を連ねる飲食密集地帯で、駅から近いエリアは月間の坪賃料が6万円にもなるという。『角打ち割烹 三才』の場合も近隣都市よりも割高で、中野区の賃料相場坪約2.5万円や新宿区の賃料相場坪約3万円を上回る。

そんな賃料の高いエリアに新店をオープンした経緯について「再開発を見越して、早めに高価格帯の店舗に取り組んでおきたいと考えました」と小椋氏。再開発によって誕生した新たなマンション群に暮らし始める世帯年収の高い人たちは、すでにその街で認知された店でないと足を運ばないと考え、その2~3年前にあたる2021年に高価格帯の飲食店をオープンさせたというわけだ。

『角打ち割烹 三才』は店名からも分かる通り、入口側が角打ち(着席可能)、奥が割烹という二毛作営業を行う。角打ちエリアでは、日本酒を1杯(3勺)390円〜とリーズナブルな価格で提供し、日本酒好き、酒好きが気軽に訪れることができるつくりにした。カウンター6席の割烹は、季節に応じて変わる10品前後の料理と、日本酒を含むアルコールが飲み放題になった12,000円のコースのみを提供し、食への感度が高い人を狙う。

のれんの向こうに広がる割烹では、料理人の手仕事を眺めながら料理を味わえる

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レイアウトやオペレーション、メニューを工夫し、坪賃料の高さも克服し過去最高益に

坪賃料が高く飲食激戦エリアで生き抜くために、『角打ち割烹 三才』ではいくつか工夫をしている。一つはメニュー開発だ。「角打ちでは、割烹営業をしながらでもすぐに出せる料理を多めにしています。お造りと火入れする肉料理以外、残りの9割のメニューは『切って盛るだけ』『のせるだけ』『燻製するだけ』です。下準備をしっかりしておくことで、作り置き感がないようにしながらも、注文を受けてからは1、2工程で済む料理だけにしています」と小椋氏は明かす。

例えば「鯛のパイ包焼き トリュフソース」は、冷凍しておいたパイ包を型に入れて焼くだけで、ソースも温めるだけ。仕上げは簡単だが、下準備は手間がかかっている。新玉ねぎとトリュフのソース、ディルやオレンジ、アンチョビ香る鯛のパイ包焼きは、角打ちとは思えぬ仕上がりだ。「燻製ポテトチップス」も同様、提供前に燻製をするだけ、「生チンジャオロースー」はお肉をタレであえて、味付けしておいたピーマンを盛り付けるだけと、スピーディーな提供が叶うメニューとなっている。

手前左から時計回りで「鯛のパイ包焼き トリュフソース」1,200円、「生チンジャオロースー」900円、「燻製ポテトチップス」800円

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二つ目の工夫が、オペレーションの最適化だ。2023年8月に角打ちエリアを、着席注文から会計カウンターでの注文に変更。日本酒が入った冷蔵庫を見やすくしてお酒は直接お客に選んでもらい、料理はテーブルにある注文用紙に手書きでチェックを入れてもらう。そのまま、会計カウンターで注文と会計を行う形に変えた。さらに、『中野青二才』でも実施している60分の飲み放題を1,950円でスタート。これにより早い時間は日本酒好きが、遅い時間は2軒目、3軒目利用の客が増えたという。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。