坪月商40万円を誇る笹塚『さささのさ』。“行きたい店の具現化”で街を代表する居酒屋に
駅前再開発で注目が高まる笹塚駅南口エリア。生まれ育ったこの地を選んで独立開業した『さささのさ』代表片桐英二氏に、出店地決定の経緯や、笹塚エリアの魅力、再開発で変化する街の様子と店への影響について聞いた。
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京王線笹塚駅南口は再開発の真っ只中だ。3つのブロックに区分けして進行する再開発計画のうち、まず一つ目のブロックでは狭い路地や古い建物が区画整理され、高層ビル「メルクマール京王笹塚」が2015年に竣工した。その低層部分にはショッピングモール「フレンテ」が開業しユニクロや無印良品、成城石井などが出店。中層階は行政施設、上層階は236戸の賃貸住宅からなる、笹塚の新しいランドマークタワーが誕生した。
「この再開発をきっかけに、北口方面の人々が甲州街道を越えて南口に足を運んでくれるようになったと実感しています」。そう語るのは、「メルクマール京王笹塚」を横切ったすぐ先から始まる、観音通り商店街で居酒屋『さささのさ』を営む片桐英二氏だ。
片桐氏は楽コーポレーションが展開する『汁べゑ』での勤務を経て、自身が生まれ育った笹塚南口に2017年『さささのさ』を開業し独立。今では平均月商600万円を売り上げる、観音通り商店街を代表する繁盛店にまで育て上げた。幼少期から笹塚の変遷を見てきた片桐氏の目には、再開発で変化する地元の様子はどう映っているのだろうか?
都内全域を候補地に検討した結果、勝手がわかる地元を選んだ
そもそも独立に際しては東京の都市部全域を対象に、さまざまなエリアを検討していた片桐氏。最終的に生まれ育った笹塚駅南口を選んだそう。
「ずっと暮らしているからこそ、街や人を知っているという強みがあります。知らない土地でゼロから始めるより、知人・友人の来店やその口コミ力はずっと堅実で頼りになるものです」
笹塚エリアでの出店を志したものの、物件探しは困難を極めたという。
「なかなか見つからないので、自分の足で探しました。この物件は長らくシャッターが降りているのを見ていたので、不動産業者に依頼しオーナーに取り次いでもらったんです。築60年の木造2階建て物件ですが、総坪数15坪で月17万円と賃貸料も安く、条件にあっているので契約しました」
築年数や諸条件を鑑みると一概には言い切れないが、エリアの平均である坪2万円弱と比べれば破格の賃貸料である。ちなみに以前は40年続いた居酒屋だったが、1階2階すべてをスケルトンにして鉄筋補強を施す大幅改修を行っているという。
