『銀座 天一』漂白剤入りの水を誤って提供し食中毒が発生。原因は「ピッチャーの取り違え」
今年8月末、百貨店・銀座三越のレストランフロアに入る天ぷら店『銀座 天一』が、漂白剤の入った水を誤って女性客に提供し、食中毒事故を起こした。トラブルが起きた後の店側の対応などをめぐり、波紋が広がっている。
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漂白剤入りの水を訪日客に提供。原因は「ピッチャーの取り違え」
『銀座 天一』は、1930年(昭和5年)に創業した天ぷら料理の老舗店だ。日本橋髙島屋店、新宿伊勢丹店をはじめ全国に店舗を構える。食中毒事故があったのは銀座三越店。漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)の入った水をお客に提供し、食中毒事故を起こしたとして、9月8日に所轄の中央区保健所から営業停止の行政指導を受けた。事故は店員による容器の取り違えが原因とされている。
銀座三越店では、9月12日まで営業を停止していたが、13日から再開。同日、『銀座 天一』の公式サイトに「化学物質による食中毒事故発生に関するお知らせとお詫び」とする声明を出した。声明によれば、再発防止策を立てるとともに、必要な改善を実施したとして、「漂白作業は営業終了後に行うこととし、漂白作業の場所を決めるとともに、作業中であることを一目でわかるようにした」などの内容を報告している。
今回の事故について大きく話題になったのは、同月16日。写真週刊誌のWeb版に、事故の詳細が掲載されたためだ。記事では、被害者が水の異臭を指摘した際、店員の対応があまりに不誠実であったことなどが取り上げられ、SNSでは、さまざまな意見が投稿された。また19日には、韓国のメディアが「被害者は韓国人だった」と報じており、被害者は「店側が韓国人客であることを知って、故意にやった」と主張しているという。
『銀座 天一』をはじめ、銀座三越の対応や今後の企業姿勢が問われる中、人種問題にも話が及んでいる今回の事故。その点の真偽は不明だが、何とも後味の悪い事態になっている。
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「天一」違いの『天下一品』。迅速な危機管理対応が話題に
一方、今回の件で別の注目を集めたのが、「天一」の愛称を持つラーメン店『天下一品』の対応だ。『銀座 天一』が営業停止の行政指導を受けた8日、『天下一品』は早々に公式サイトを通じ、「この度、ニュースにあがっております『銀座 天一』様の一件につきましては、弊社とは一切関係がございませんので、お知らせ申し上げます」とコメントを発表した。
すでにSNS上では思い込みや混同による反応が投稿されていたが、『天下一品』は、すばやい危機管理対応により、思わぬ被害の拡大を防いだと言える。
これを機に改めて見直したい、飲食店における食の安全対策
次亜塩素酸ナトリウム水による消毒は、ノロウィルスやロタウィルスなどの感染症やカビに対して非常に有効なことがわかっており、多くの飲食店で活用されている。また、新型コロナウイルスの感染防止対策としても推奨されたため、より身近な存在になっただろう。
しかし、2月には岡山県のレストラン、3月には大阪府のホテル内レストランなどでも次亜塩素酸ナトリウム水による食中毒が発生しており、どの店でも起き得る事故であると言わざるを得ない。こうした事例を教訓に、飲食店においてはHACCPをはじめ、食の安全に関わるルールを今一度見直してほしい。