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東新宿で坪月商50万円を叩き出す『七福八郎』。勝因は、感度の高い商圏調査と低投資出店

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『炭火と酒と肴 七福八郎 東新宿本店』を運営するLDWorks株式会社の夏木拓郎社長

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新宿からぎりぎり徒歩圏内ではあるものの、目立った集客施設がなく、閑静な住宅エリアが広がる東新宿。この地に2022年4月にオープンした『炭火と酒と肴 七福八郎 東新宿本店』は、繁華街から外れた3等立地にもかかわらず、店舗規模9坪23席で月商450万円、坪月商50万円を叩き出す繁盛居酒屋だ。

同店を運営するLDWorks株式会社代表取締役の夏木拓郎氏が得意とするのは「訳あり物件」をフル活用した低投資出店。その詳細と業態開発のポイントを夏木氏に聞いた。

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9坪23席の店舗規模で初期投資はわずか320万円

夏木氏は、繁盛バル「DRAシリーズ」などを展開する株式会社DREAM ONや、店舗デザインなどを手がける株式会社カームデザインに計10年勤務した後、2020年1月に独立。2021年3月に神奈川・座間に『CAFÉ NICOLA』をオープンして外食事業をスタートすると、2年半の短期間で外食6店を出店している。

客席はカウンター10席、8人がけテーブル1卓、4人がけ座敷席1卓で構成。居抜き物件の店舗レイアウトをそのまま利用し、壁のタイルや壁紙など貼り替えることで低コストで内装を整えた

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そのスピード出店の肝となっているのが低投資出店だ。

たとえば、1店舗目『CAFÉ NICOLA』は出店準備が進んでいたものの、コロナ禍でオープンが見送られていた物件を譲り受けたもの。官民一体の事業だったのでほとんどコストをかけずに出店できたという。2店舗目は夏木氏の出身地である兵庫・明石に『CAFÉ NICOLA 明石店』を2021年8月にオープン。この店はコロナ禍で撤退を余儀なくされた郊外ロードサイド立地の喫茶店を買い取って出店するなど、「訳あり物件」をフル活用して出店資金をぎりぎりまで抑えた。

そして、『七福八郎』の物件取得費を含めた初期投資額はわずか320万円。物件取得費120万円、造作譲渡費80万円、内外装費120万円がその内訳だ。さらに営業利益率40%を確保し、たった3か月で投資回収を済ませたというから驚く。

「半年以内に投資回収を済ませることを念頭に置いて探し出したのが『七福八郎 東新宿本店』の物件でした。やはりコロナ禍の影響で撤退することになった居酒屋の事業譲渡でしたが、内覧した当日に即断即決で契約を交わしました。大家さんも前店主の方も原状回復のための余計なコストや時間をかけたくありませんから、早ければ早いほどいい条件で契約できました」

居抜き物件が木目を基調とした造りだったのに合わせ、アンティークの和箪笥を配して和の趣きを表現した

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。