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悪立地でも坪月商45万円を誇る『下北沢の零や』。24歳、若き経営者の感性光る「繁盛戦略」

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フードの柱である煮野菜は冷菜8品、温菜4品を揃え、単品のプライスレンジは380~800円。「桃尻トマト桃果汁で浅漬けに」(580円)、「生姜と小茄子の出汁浸し」(400円)、「わけぎ葱とタコを合わせてキムチに」(500円)が単品の売れ筋トップスリー

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居酒屋のヒット事例が少ない野菜で差別化を図る

繁盛居酒屋として『下北沢の零や』が特殊な点は煮野菜を名物メニューに掲げていることだ。野菜はヘルシーなイメージが強く、健康志向が高い女性へのアピールポイントにはなるが、娯楽性や嗜好性の高い居酒屋と親和性が低く、野菜を売りにした繁盛事例は例が少ない。

達川氏は「『下北沢の零や』は福知山で手がけていた『大衆串屋台 ぜろや』が業態の下地になっています。『ぜろや』は契約農家から仕入れる野菜を用いた野菜巻き串が売り。自分で開拓した仕入れルートを東京進出でも活かそうと考えましたが、『ぜろや』をそのまま東京に持ってきても業態の独自性が乏しい。そこで考え出したメニューが煮野菜でした。大鍋のダシで旬の野菜を炊き、それをさまざまな料理に仕上げることにより、京都野菜としてのブランド訴求、メニューバリエーションの拡充などにつながると考えました」

写真は「冷たい煮野菜3種ちょこっとずつ盛り合わせ」(1280円)で、料理は「生姜と小茄子の出汁浸し」、「金時人参とゴボウ シンプルにきんぴらに」、「桃尻トマト 桃果汁で浅漬けに」の3品

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フードメニューは9カテゴリー計52品をラインアップし、そのうち煮野菜は冷たい煮野菜8品、温かい煮野菜5品を揃える。京水菜、金時人参、トマト、カボチャ、カリフラワーなど農家から直送される野菜の種類によって調理方法を変えて商品ごとの個性を追求。単品の断トツの売れ筋1位はトマト1個を丸ごと盛り付けた「桃尻トマト桃果汁で浅漬け」(580円)で、好みの煮野菜を組み合わせられる「冷たい煮野菜3種ちょこっとずつ盛り合わせ」(1,280円)のテーブルオーダー率は80%におよんでいる。

串焼き8品、野菜巻き串9品がフードのもうひとつの柱。串焼きは「レアハツ~タレ~」(250円)、「つくね~月見~」(380円)、野菜巻き串は「トマト巻き」(280円)、「アボカドチーズ巻き」(380円)が売れ筋

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売りは見映えする商品。定番アイテムで客層の幅を拡げる

フードのもうひとつの柱が串焼きと野菜巻き串だ。

「煮野菜は独自性が高く、見映えする集客アイテムですが、野菜料理だけだと客層が若い女性に偏ってしまいます。繁盛し続けるためには幅広い客層の居酒屋ニーズを吸収できるようにする必要がある、そう考えて居酒屋の定番アイテムである串焼きを投入しました」(達川氏)

組客当たりの注文率90%の「串焼きと野菜巻き串7種盛り」(1980円)。串の種類は右から「レアハツ~たれ~」(250円)、「ネギ磨~たれ~」(280円)、「ささみ~山葵醤油~」(220円) 、「砂肝~塩~」(220円) 、「トマト巻き」(280円) 、「豆苗巻き」(280円) 、「梅しそ大葉巻き」(300円)

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串焼きは「豚バラ~大麦三元豚~」(280円)、「つくね~月見~」(380円)など8品、野菜巻き串は「トマト巻き」(280円)、「アボカドチーズ巻き」(380円)など9品。串焼き、野菜巻き串のいずれもメニューを売れ筋に絞り込んでおり、仕込みの効率化やロスを削減するなど生産性の高いメニュー構成になっている。

見栄えがする集客アイテムと客層の幅を拡げる定番アイテムというメニューミックスの手法はドリンクメニューでも採り入れられている。

名物自家製サワー10種、京都のお茶屋さんの茶割と色々割10種、仕込みに7日かかる自家製クラフトコーラ3種などは女性受けを意識したメニューカテゴリー。一方、ビール4種、ハイボール7種、日本酒6種、焼酎6種、ワイン6種などアルコールの定番メニューをバランスよく揃えており、アルコール売上げ比率は40%を確保している。

写真右から、「コーン茶割り」(500円)、「宇治抹茶豆乳割り」(650円)、「欲張りキウイサワー」(550円)、「若さの秘訣ブルーベリーサワー」(600円)、「クラフトビールコーラ」(650円)

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。