16坪で月商1,000万円の『よかよか堂』。おでんの付加価値化で営業利益率34%を稼ぐ!
「おでんらしからぬおでん」効果で夏場の売上減を1割に抑える
この視点から開発した『よかよか堂』の看板メニューが「博多おでん」だ。
博多おでんは税抜き380〜980円(418〜1078円)の価格帯で定番メニュー11品、シーズンメニュー8品をラインアップ。売れ筋トップスリーの「博多もつ鍋おでん」(748円)、「イカ真丈と生海苔おでん」(528円)、「大根とろろこんぶおでん」(418円)をはじめ、おでんとは思えないようなユニークな商品名がメニュー表に並んでいる。
「博多おでんは独自に作り出した料理ジャンルで、その定義として設定したのが『あごだしで食材を炊くこと』です。おでんダネのど定番である大根、玉子などを使っておでんらしさを残す一方、和牛もつやイカ真丈、ホタテなどおでんで見たことがない食材を用いて自由な発想で商品を開発しました」(山本氏)
使用する食材や味付けを変え、盛付けも工夫して1品1品を個性的な商品に仕上げているが、この「自由な発想」がよりわかりやすく表れているのがシーズンメニューの博多おでんだ。
シーズンメニューは年4回入れ替わるが、取材時には「(冷)ピュアホワイトと枝豆とモッツァレラチーズおでん」(638円)や「生ハムとフレッシュバジルとモッツァレラチーズのガスパチョ風」(638円)など冷製おでん4品を用意。「なかには、『これはおでんじゃない』とおっしゃるお客様もいますが、あごだしの旨味を利かせる点はブラしておらず、特に女性客には好評です」と山本氏は言う。
そして、こうした「おでんらしからぬおでん」が特に効果を発揮するのが夏場の集客だ。冒頭で述べたようにおでん専門店は夏場に大きく売上が落ち込むが、オーソドックスなおでんとは一線を画す料理として認知されることで、夏場でも売上の減少幅は1割程度にとどまっている。
1品のみの自然薯料理が客単価アップとランチの売上増につながる
もうひとつの看板メニューである自然薯料理も客単価アップと売上増に大きな役割を果たしている。
メニューバリエーションが幅広い博多おでんに対し、自然薯料理は「自然薯生とろ」(638円)の1品のみ。「粘りが強く、餅のような弾力が自然薯の魅力。余計な手を加えるとそうした食材の個性が損なわれてしまうため、シンプルな料理一本に絞りました」と山本氏は説明する。その狙い通り、自然薯生とろの注文率は80%に達しており、プラス一品として客単価アップに貢献。また、「クイック提供できる自然薯生とろにより、『高品質な店』ということを一品目の料理で印象付けられる効果も大きい」(山本氏)という。
また、自然薯を看板メニューに掲げることで強みを発揮するのがランチ営業だ。
新宿御苑前周辺にはオフィスが広がっており、週末は新宿御苑を訪れる観光客も多いため、平日、週末ともランチニーズが大きい。『よかよか堂』ではランチメニューとして定食5品を用意。1,250〜1,500円という価格はランチとしてはやや高めだが、すべての定食に自然薯とろろとあごだしスープをセットにしている。食事メニューとしても付加価値効果が高い自然薯を活用することにより、ランチ客単価は1,300円を確保し、ランチのみで売上の20%を稼ぎ出している。
