渋谷『テンキ』、オープン1年で超繁盛店に成長。姉妹店『KAMERA』と共通するヒットの法則
カジュアルながらも本格的な料理。そんなギャップが店の隠れテーマ
『テンキ』では醤油や和風出汁、精製糖といった居酒屋料理で使われる調味料は一切使っていない。
「いわゆる甘辛で濃いめの味付けではなく、香りや風味で遊びを持たせて、食べ終わったときに満足感のある深い味わいを目指しています」(亀谷氏)
客単価は8,000円。居酒屋業態としては高めの設定だが、天ぷら専門店としてはリーズナブルだと言えるだろう。いわゆる高級食材は使っていないので、料理の原価は25%程度に抑えられているそう。
「僕にとって『テンキ』のメニュー開発は、フランス料理をおつまみにスケールダウンさせる感覚です。僕の料理をストリート文化に馴染ませつつ、いかに『テンキ』というグルーブ感に落とし込んでいくかという作業だと思っています。カジュアルながらも本格的な料理が食べられる、そういったギャップも店の隠れテーマかもしれません」(亀谷氏)
また料理に合わせるドリンクには、白のナチュラルワインを薦めている。店内の壁一面に埋め込まれたワインセラーには、数百本のワインがストックされており、ソムリエを中心にスタッフ全員でペアリングやおすすめの提案を行う。
大人カップルが酔いしれる、細部のこだわり
『テンキ』の店舗デザインには渋谷カルチャーを感じるセンスが光っている。メインターゲットは「大人のカップル」。ゆえに「デート利用で互いのテンションが上がるような、大人っぽくて雰囲気のある空間」というリクエストで完成した内装は、夜の営業でひときわ艶っぽいムードを放っている。
またユニフォームはニューヨークを拠点とするアパレルブランド「TANAKA」によるデザインだ。一見シンプルにも見える『テンキ』のロゴも、ロゴデザイナーによる作品である。
ディテールにここまでこだわる理由を聞くと、「センスのある大人は細かい部分まで見ていると思うから。僕自身のこだわりでもありますね」(目良氏)との答えが返ってきた。細部までも抜け目ないデザイン性の高さが、『テンキ』の持つ雰囲気を作り出していることは間違いない。
