“ちょっといい居酒屋”渋谷『うゆう』。原価度外視の仕入れとフードロスゼロの好バランス
客の心をつかんで離さない、とびきりの美味と遊び心
『うゆう』の料理の価格帯は、安いもので500円台から、一部を除き約1,500円の間に設定されている。メニュー表は「お造り」「スペシャル」「焼き・煮」「揚」「やさい」「肉」「つまみ」「〆」に分類、取材当日は約40種類がラインナップされていた。またメニュー表をA4用紙一枚に収めることで、可読性の高さやオーダーのしやすさにも配慮している。
「『うゆう』では、先ずお造りを味わってほしいですね。毎朝豊洲の仲買商と話し合って仕入れた新鮮な素材、私の故郷・鹿児島から直送される旬の味を提供しています。特に『少しずつ盛り合わせ』(1,350円)は、本日のおすすめ3品を料理長が一人前ずつ丁寧に盛り付ける、目にも美味しい一品です。割烹の気分を味わえると、特に女性に好評です」
画像を見るまた、蟹の香りが口中に広がる「蟹クリームコロッケ」(550円)も人気だ。熱々を豪快にかぶりつきたくなるファストフードスタイルでの提供が楽しい。一緒に提供されるソースは、鹿児島県吉村醸造サクラカネヨの『第3のソース』。甘口のフルーティな風味がより贅沢な味わいを引き出してくれる。
画像を見る〆の一品として、ほとんどの客がオーダーする『うゆう』のシグネチャーメニューが『炭炙りさば棒鮨』(一貫350円)だ。軽く酢じめした鯖をシャリに巻き、提供直前に炭を直接押し当てて炙る。口中に広がる薫香と鯖の旨味は口福そのものの味わい。炭が当てられた瞬間にモクモクと燻煙が湧き上がる光景を目にした多くの客が、しばし撮影に興じる。客の目にも美味しい演出だ。
画像を見る「『少しずつ盛り合わせ』の盛り付け、『蟹クリームコロッケ』の提供方法や『炭炙りさば棒鮨』のパフォーマンスなど、店自体の“味付け”にも気を使っています。今、美味しいお店は巷にあふれています。そんな時代に『うゆう』のリピーターになっていただくには、味の良さは言うに及ばず、店の魅力自体もアップさせる必要があると考えているのです」
ドリンクは「サッポロ黒ラベル生」(750円)、「サッポロ赤星大瓶」(950円)から、ハイボール、割りもの、芋焼酎、麦焼酎、そしてワインと客層にあわせて幅広いラインアップを用意。御幸氏がこだわる日本酒は全国の銘醸(片口で提供、各1,200円)ぞろいだが、なかでも『うゆう』がアンバサダー認証店を務める奈良県油町酒造の『風の森』は、火入れをしていない生酒独特の微発砲と、フルーティな香りが後を引く旨口だ。
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