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“ちょっといい居酒屋”渋谷『うゆう』。原価度外視の仕入れとフードロスゼロの好バランス

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料理長の加茂友太氏

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「スタッフ」という仲間たちのおかげで『うゆう』はある

「2019年に恵比寿にオープンした最初の店『魚見茶寮』も、当初は『うゆう』と同じような、居酒屋以上割烹未満の『ちょっといい居酒屋』を目指していました。ところがコロナ禍で客足が激減し、そうしたコンセプトでは立ち行かなくなってしまった。そこでコース専門の客単価約15,000円の高級路線にシフトし、何とか危機を乗り切りました」

それだけに、『うゆう』は御幸氏が手掛ける2軒目ではあるものの、初めて挑戦する念願の居酒屋だ。

「コース料理の『魚見茶寮』は、自分がオーナーシェフとして店と調理の全工程を管理する、言わばスタンド割烹に近いオペレーションです。しかし2店目、それもアラカルト中心となれば、自分一人ではとても対応不可能です。仕事を任せられるスタッフの存在が欠かせません」

『うゆう』の正社員は、みな長年友情を培ってきた家族のような仲間たちだ。アルバイトも募集はせず、リファラル採用で信頼できるスタッフを集めている。

「『うゆう』規模の店では、チームワークが事業の成否を大きく左右します。家族のような関係を組織に取り入れ、お互いに助け合える固い絆で結ばれたチームが作れなければ、事業は到底成り立たないと考えています」

スタッフの新絵美子氏

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食材費の高騰問題に対する『うゆう』の回答とは

食材費の高騰が叫ばれて久しいが、『うゆう』ではこの問題にどう向き合っているのだろうか。

「努力と工夫で原価はある程度抑えられると考えています。仕入れの人脈をフル活用して、変わらぬ質の食材をより安く仕入れる毎日です。食材費が上がりましたので値上げしますでは、お客様に対し申し訳が立ちません。たとえば当店のお造りは、高級店と並ぶ品質の魚を原価度外視で提供し、好評を博しています。店舗にとって負荷の高いメニューもありますが、全体のコストを俯瞰したうえで収益バランスを調整しています」

また徹底したフードロスゼロ管理も同店の強みだ。捌いた後の魚の骨から美味しいスープを取り、お造り用の魚を翌日ツナなどに加工してサラダとして提供するなど、工夫を凝らした同店の魅力あふれるメニューは、高いフードロスゼロ意識が生む賜物でもあるのだ。

わずかな「敷居の高さ」はあえての演出

最後に渋谷という土地柄で「ちょっといい居酒屋」を営むためのポイントを聞いた。

「店の値段感やデザインで、あえて少しだけ『敷居の高さ』を感じさせるよう意識しています。ある程度間口を狭めることで、不慮のトラブルも未然に回避できると思うので。これも仲間たちを守るための施策です」

2階の隠れ家のような場所や入口の風情、大人の内装は、店の品格を示し、トラブルを予防するための機能も果たすという。スタッフ思いのオーナーに仕事を任された仲間たちが、今日も渋谷の大人たちに「ちょっといい夜」を演出する。

少し敷居の高さを感じさせる入口のデザインも、御幸氏による演出の一つだ

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『うゆう』
住所/東京都渋谷区渋谷3-17-5 鈴屋ビル2階
電話番号/03-6805-0667
営業時間/17:30~24:00(L.O.23:00)
定休日/12月31日、1月1日
定員/約25名
https://www.instagram.com/uyu_shibuya

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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