六本木『串かつ男/男おでん』、年商10分の1になって得た人生の平穏【連載:居酒屋の輪】
繁盛している居酒屋はどこかで必ずつながっている。名店誕生までのストーリーを探りつつ、また別の新しい名店を紹介してもらう連載企画。前回登場『おでん都』の西岡 塁さんが「今、1番色々なことを教えてもらっている師匠のような存在」と慕う人物に会うため、訪れたのは六本木。駅から石畳の路地を3分ほど歩いた先にある、落ち着いた雰囲気のおでん屋(夏は串かつ屋)に向かった。
なんと、ここは人気TVドラマ『六本木クラス』のロケ地。さらに店主である伊藤さんは、フィクションに負けず劣らずの波乱万丈な人生を歩んでいるようで……。
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居酒屋経営者であれば誰もが憧れる成功物語?
日本最大の外食企業に立ち向かう若手経営者のサクセスストーリーを描いた『六本木クラス』。その主な舞台となるのが、竹内涼真演じる主人公が六本木に開業した居酒屋『二代目みやべ』だ。何を隠そう、その居酒屋こそが今回の取材先『串かつ男/男おでん』なのである。
「原作の韓国ドラマ『梨泰院クラス』からのファンだったので『撮影場所として使用できないか』とお声がけいただけたときは嬉しかったですね。結局、店内には機材が入り切らず、ロケ地となったのは外観だけでしたが。撮影はほぼ定休日で6〜7回ほど、特に苦労したことはありません。それどころかコロナ禍で大変な時期だったこともあり、店の経営的にも大きな助けになりました」と経緯を話すのは、『串かつ男/男おでん』の店主・伊藤 守さんだ。
2022年7月にドラマが公開され、2話目で『二代目みやべ』が登場。3話目が公開されるころには『串かつ男/男おでん』がロケ地ではないかと視聴者の間で騒がれはじめた。8月や9月には連日のように行列ができたという。
「ファストフード的な感覚で、ちょっとだけ食べて帰るお客様が多かったですが。私自身がファンだったこともあって、ドラマの話題で盛り上がったりして。ロケ地巡礼で来てくれた方の1割強くらいは常連になってくださったと思います」
“居酒屋経営者の逆転劇を描いた『六本木クラス』に、自身を重ねる部分はあったかのか?”という問いに対しては「そんなに上手くは成り上がれねえだろ(笑)、なんてツッコミを入れながらドラマを観ていました。もちろん物語としては非常に面白いし、飲食経営者にもファンは多いんですが……現実はドラマのようにはいかないからね」。そう語りだした伊藤さんのこれまでの人生は、山あり谷ありの波乱万丈なものであった。
