坪月商58万円の六本木『おでん屋 ずぶ六』。『汁べゑ』の魂継ぐ究極のおもてなしが集客の肝
引き継いだのは、商品開発や接客に込めるホスピタリティ
フードはおすすめメニューを含めて約40品をラインアップ。おでんを除くとそのほとんどが『おでん屋 ずぶ六』のオリジナル商品で構成されているが、『汁べゑ』から引き継いだものもあるという。
「商品開発やサービスに反映させるホスピタリティの意識は、『汁べゑ』由来ですね。クオリティはもちろんですが、『お客さまに楽しんでいただくこと』をとくに重視しています」(海野氏)
この海野氏の考えがよく表れているのがお通しだ。お通しのおばんざいは複数の料理大皿に盛り付け、カウンター上に陳列。カウンター席のお客にはスタッフが声をかけ、ショーケースをのぞくような楽しさで好みのおばんざい1品をチョイスしてもらう。これは『びぃすとろ 汁べゑ』から踏襲した提供スタイルだ。
また、営業再開時に取り入れてヒットしたメニューが、おでん出汁で炊き上げた土鍋御飯。「鯛めし」(1,800円)、「鮭とイクラ」(2,000円)など1,680~2,000円の価格帯で3品を揃える。1合炊きのため、2人でシェアをしてもやや多めの分量だが、食べきれなければおにぎりにして持ち帰ることもできる。人気が出るのも納得のメニューだが、キラーコンテンツとして価値を実感してもらうには、ホールスタッフのスキルが問われる面もあるという。
「土鍋御飯は炊き上がりまでに時間がかかりますから、オーダーテイク時にも丁寧な商品説明が必要ですし、ちょうどいいタイミングで提供するためには、お客様の食事ペースにも目を配らなければなりません。つまり、ホールスタッフの力量によっても商品価値が大きく変化するわけです。土鍋御飯のテーブルオーダー率は50%。その点ではスタッフのサービス力が十分に発揮できていると判断しています」(海野氏)
営業再開後も特別なことはしない。心配りのサービスが売上増につながった
前述したように営業再開後しばらくは集客に苦戦したわけだが、それに対して海野氏は「特別な施策は打たなかった」と言う。
「不安がなかったといえば嘘になりますが、価値の高い商品とサービスを提供していれば、お客様は必ず戻ってきていただけると信じていました。ホスピタリティの重要性をスタッフ全員で共有し、心配りを伝えるサービスに全力を注いだことが売上増という成果に結びついたのだと考えています」
