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坪月商58万円の六本木『おでん屋 ずぶ六』。『汁べゑ』の魂継ぐ究極のおもてなしが集客の肝

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『おでん屋 ずぶ六』店長の海野大治郎氏(左)と、業態開発を手がけた株式会社ブラボーピープルズ取締役副社長の佐藤大介氏(右)

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東京・六本木に、売上を急上昇させている繁盛居酒屋がある。『おでん屋 ずぶ六』だ。オープンは2019年10月だが、その後まもなくコロナ禍に突入。1年半にわたって完全休業し、その後も時短営業を余儀なくされた。しかし、2023年3月の営業再開からわずか9か月後の12月には最高月商700万円をマーク。逆境を切り抜け、よりパワーアップできた理由は何なのか。同店を運営する株式会社ブラボーピープルズ取締役副社長の佐藤大介氏と店長の海野大治郎氏に、営業再開時の取り組みと業態開発のポイントについてうかがった。

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営業再開後は売上が急上昇。最高月商は700万円に到達

2023年3月20日、『おでん屋 ずぶ六』は営業の再スタートを切った。インバウンド客が街中に溢れていた六本木は、人流の回復がほかの繁華街エリアより遅かったこともあり、待ちに待った3年振りの営業再開だった。店舗規模は12坪38席。営業再開直後こそ月商300万円未満とやや集客に苦戦したものの、コロナ5類引き下げが実施された5月以降、徐々に客足が増え始めた。9月に入ってからは一気に売上を伸ばし、12月には月商700万円を叩き出した。

店舗はスタジオムーンによる設計。エントランス目の前のカウンターにおでん鍋を設置し、その横に魚串の焼き台を配してシズル感を訴求している。

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黒おでん、本マグロ、魚串がフードの3本柱

『おでん屋 ずぶ六』を運営する株式会社ブラボー・ピープルズは、東京都内に居酒屋6店とラーメン店1店を展開している。同社が1994年に六本木にオープンした『びぃすとろ 汁べゑ』は連日お客で溢れかえる繁盛居酒屋だったが、ビルの立ち退きによってやむを得ず閉店。『おでん屋 ずぶ六』は、そんな『びぃすとろ 汁べゑ』の業態コンセプトを引き継ぐ形で開発された店舗だという。

「『びぃすとろ 汁べゑ』は20年近く愛された人気店だったため、閉店によってこの店が摑みとっていた居酒屋ニーズを手放すのはもったいないという思いがありました。六本木エリアにおける居酒屋ニーズの受け皿になり、なおかつ新たな客層を掘り起こすべく、より業態をブラッシュアップさせたのが『おでん屋 ずぶ六』なんです」(佐藤氏)

フードのメインアイテムは『びぃすとろ 汁べゑ』の売れ筋だった「黒おでん」だ。140~500円の価格帯で単品8品をラインアップ。おでん出汁にはシジミを加えて商品クオリティを磨きあげている。

写真手前から時計回りに「真っ黒おでん 盛り合わせ6品」(1,300円)、「生本マグロ刺身」(1,280円)、「魚串盛り合わせ5本」(1,650円)

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また、「生本マグロ刺身」(1,280円)と、5品を揃える「魚串焼き」がおでんに並ぶ名物メニュー。こうした商品構成の狙いを佐藤氏は次のように説明する。

「『びぃすとろ 汁べゑ』もおでん、刺身、焼き物がメニューの柱でしたが、『ずぶ六』は『汁ベゑ』よりも店舗規模が小さいですから、メニューを絞り込む必要がありました。具体的には、刺身を思い切って売れ筋のマグロのみにする一方、生本マグロを使用して品質を追求する……といった具合です」

また、焼き物を魚串焼きにしたのは、串焼きが酒場の売れ筋であることに加え、商品として独自性があると考えたためだそう。メニューを構成する軸は変えずに、店舗規模に合わせて付加価値をつけた形だ。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。