深夜も客足が途絶えない池尻大橋『酒と麺タイノタイ』。「〆ラーメン効果」で売上2倍に!
産地まで出向き、こだわり抜いた出汁が決め手
そもそも田中さんは「魚しかない居酒屋」といった触れ込みで絶大なファンを集める『魚真』グループの出身。魚介の扱いに長けたプロフェッショナルだ。経営母体が魚屋という環境で経験を積むこと10年。そのうち8年間は渋谷、銀座、吉祥寺の人気店で店長を歴任してきた。2019年、三軒茶屋駅から徒歩6分の路地裏にオープンした独立店『魚と酒 めから鱗』も魚料理が名物である。
「やはり魚。『魚真』で仕事を続けてきたからこそ、その点には絶対こだわりたい」という田中さんは、ラーメンの出汁においても魚介の旨みを追求したという。最終的な候補となったのは真鯛とハモ。両者とも白身魚ならではの上質さがあり、甲乙つけがたい味わいであったが、深みと旨味、そして昔から縁起が良い食材であることが決め手となり、真鯛に軍配が上がった。
「より良質な素材を年間通し安定して調達するため、鯛の生産量日本一の愛媛を訪問しました。県内の産地を吟味して、愛南町産真鯛をスープの核とすることに決めたんです。味の決め手はもう一つ。愛媛の地元企業が独自技術で抽出に成功した『鯛油』です。この希少な油が鯛出汁ならではの風味を一層奥深くしてくれます」
麺は三軒茶屋の高竹製麺所から取り寄せるモチモチの中太麺。具材の主役は低温調理で仕上げた岩中豚(いわちゅうぶた)のチャーシューであり、海苔、味玉、ネギが脇を固める。ラーメン店ではなく、居酒屋で経験を積んできた田中さんだからこその〆の一杯に特化した味わいだ。
完全オリジナルの「生ポテトサラダ」などサイドメニューも充実
つまみの名物となっているのは意外にも魚介類ではなくポテサラだ。田中さんが店の目玉となるメニューに頭を悩ませていた際、夢で見た「生のジャガイモをサラダに使う」というアイデアを昇華した逸品だ。
そのほか「鯛めし焼きおにぎり」「じゅーしーメンチカツサンド」「ヤリイカとブロッコリーのペペロンチーノ」など、ラーメン以外の炭水化物も充実。毎日のように通う常連客にとって、〆の選択肢が豊富なのは嬉しい限りだろう。
