日本橋のカフェ『パークレット』はなぜ人気? アメリカ人夫妻の「温かな店づくり」
近年、感度の高い飲食店の出店が相次ぐ日本橋・人形町エリア。多様な人々が行き交うこのエリアで、オフィスワーカーや居住者、観光客など幅広い客層を包み込むカフェベーカリーがある。それが2022年1月20日(木)、日本橋小舟町の堀留児童公園に隣接する形でオープンした『Parklet(パークレット)』だ。同店を手掛けるアメリカ出身のご夫妻、ジェイジェイ(Jerry Jaksich)さんとケイト(Kate Jaksich)さんに人を呼ぶ店づくりについて聞いた。
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カリフォルニアの有名店で飲食を学んだジェイジェイ&ケイト夫妻
夫のジェイジェイさんは、サンディエゴ大学で心理学の学⼠を取得した後、英語教師として北海道江別市に来日。3年間教師の仕事を務めた後、札幌の焼鳥店で調理とサービスを担当した。アメリカに帰国し、2008年からバークレーにある『Chez Panisse』で働き始め、自然⾷材への愛情やFARM TO TABLEの精神を学び、飲食の道へ進むことを決意する。その後『Chez Panisse』時代の同僚とともに『Ramen Shop』をオークランドに開業。同店で働いているときに、友人の友人として来店したケイトさんと出会う。
ケイトさんは、カルフォルニア料理アカデミーでカリナリー・アーツを、カリフォルニア大学バークレー校で言語学を専攻。サンフランシスコの『Lulu』、『The Fifth Floor』、『Delfina』、『The Slanted Door』などを中心にレストランのサービスとマネジメントを経験。サンフランシスコで人気を誇るベーカリー『Tartine Bakery』を担うタルティーンレストラングループの経営にも携わっており、ジェイジェイさんと出会ったころには独立も考えていたという。
二人は結婚し、子どもが生まれオークランドで子育てに励んだ。やがて子どもが一歳半を迎え、子育てがある程度落ち着くと、アドベンチャー好きなケイトさんは「どこかに行きたい」と思い始めた。
「二人でどこに住みたいかを話し合っていて、僕が昔住んでいた北海道か、旅行して野菜や料理のおいしさに感動した鹿児島のどちらかに移住したいという話になって。結果的に平たんな地形で、街が碁盤の目状に広がっていて構造がわかりやすい札幌へ移住することに決めました」とジェイジェイさんは振り返る。1年半準備を重ね、2019年5月に家族で札幌へ移住を果たす。
札幌にバターミルクフライドチキン専⾨店を開業
札幌移住後はアメリカ南部のソウルフードである、バターミルクフライドチキン専門店の開業を目指した。日本で飲食店を出店するにあたり、ジェイジェイさんが『Chez Panisse』時代の研修で出会った札幌のラーメン店店主にアドバイスをもらいながら、メニュー開発や物件探しなどを行ったという。晴れて札幌市中央区南八条に『Baby J’s(ベイビージェイズ)』のオープンを果たすが、パンデミックを迎えてしまう。
「お店を開けていてもテイクアウトかデリバリー需要しかなくて。時間ができてしまったので、ケイトがサワードウなどのパン作りを始めたんです。オープンから一年後、ケイトのパンを食べて『この味を東京でも届けたい』と気に入ってくれた人がいて。それが今のビジネスパートナーである株式会社ステイプル代表の岡雄太さんと、クリエイティブディレクターのマックス・ハウゼガさんでした」
以前から東京でのポップアップイベントを通じ、手ごたえを感じていたケイトさんとジェイジェイさん。ステイプルからの声掛けを受け、2021年10月に東京へ移住。2022年1月に日本橋小舟町の堀留児童公園に隣接した築38年のオフィスビル一棟をリノベーションした『SOIL NIHONBASHI(ソイル 日本橋)』の1階に『パークレット』をオープンした。
