飲食店ドットコムのサービス

池尻大橋『OMA』が描く“居酒屋の新たな世界観”。デザイン力で「会話」生まれる酒場に

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

運営会社であるMISSH inc.代表取締役の榊原祐樹氏(写真左)とオーナー・クリエイティブディレクターの石黒篤史氏(同右)

画像を見る

ここ数年でホットな店が相次いでオープンしている東京・池尻大橋。その中でも情報感度の高い層からの支持を得ている繁盛居酒屋として注目を集めているのが『OMA』だ。

『OMA』は昼に定食屋、夜に居酒屋として営業する二毛作業態だが、開発したのは榊原祐樹氏、石黒篤史氏というデザインのプロフェッショナルである二人。スタイリッシュなだけでなく、定食屋、居酒屋としての機能性も加味された『OMA』のデザイン設計のポイントをお二人にうかがった。

【注目記事】『渋谷 半地下酒場』24坪で月商1,500万円。「飲食店は、物件ありき」の真意を聞く

池尻大橋にしっかりとした定食を食べられる店が少ないことが開発のきっかけ

『OMA』は、デザインのプロフェッショナルである二人が手を組み、開発した定食屋 兼 居酒屋だ。

運営会社はMISSH inc.。同社代表取締役の榊原祐樹氏は店舗デザインや飲食店プロデュースなどを手がけるTRACTION inc.の代表、オーナー・クリエイティブディレクターの石黒篤史氏はアートディレクションを軸に広告制作やパッケージ制作などを手がけるOUWN inc.の代表でもある。

店は池尻大橋駅から徒歩3分のマンション2階に入居。全面ガラス張りのファサードは解放感があり、店内からは国道246号の大橋ジャンクションを見渡せる(写真提供:MISSH)

画像を見る

TRACTIONは中目黒のカラオケスナック『ドリーム』や池尻大橋の喫茶店『drip』、原宿のカフェ『Locul Cafe』、さらに2024年6月池尻大橋にオープン予定のリスニングバー『nova』など、『OMA』を含めて5店を自社で運営しているが、「事務所を構えている池尻大橋にはランチタイムにしっかりした食事をとれる定食店が意外と少ない。そこで『自分たちが普段使いできる店』をつくりたいと考え、かつて一緒に仕事をしたことがあり、同じく事務所を池尻大橋に構えている石黒さんに声をかけました」と榊原氏は出店の経緯を説明する。

『OMA』の客単価は昼1,500円、夜4,500円。2023年9月にオープンしたが、東急田園都市線沿線の住民やオフィスワーカーなど情報感度の高い層から支持を獲得し、個室10席を含めた18.8坪38席の店内は予約客のみで連日満席になる繁盛ぶりを見せている。

店舗規模は18.8坪38席。フロア奥にある個室の扉の前には石黒氏がデザインした暖簾を下げている(写真提供:MISSH)

画像を見る

デザインのプロフェッショナルである二人がタッグを組む

業態開発においては内外装デザイン、備品選定、メニュー及びオペレーション開発などの店舗プロデュースを榊原氏、店名考案やブランドロゴ設計などのアートディレクションを石黒氏が担当。デザインのプロフェッショナルである二人が開発しているため、むろん店舗設計にはさまざまな工夫が施されている。

『OMA』は国道246号沿いのマンション2階に入居しており、お客が全面ガラス張りのエントランスから入店すると、まず目に飛び込んでくるのがオープンキッチンを囲んだコの字型カウンターだ。3種類の一枚板を組み合わせたカウンターは重厚感がありながら、温かみを備えているが、特筆すべきがその配置。長方形のフロアだが、壁に平行する形ではなく、斜め45度にカウンターを設置しているのである。

「これはフロアのライブ感を高めるのが狙いです。カウンターを斜めに設置することで空間に動きができ、フロアの余白にテーブル席やスタンディングテーブルなどを置くことによってさまざまな外食シーンを演出できると考えました」(榊原氏)

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。