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100種のお茶割りが好評の学芸大学『茶割』。新店『wacasu』は “逆張り”コンセプトで勝つ

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酒場フレンチ『wacasu』。1階にはお茶割りスタンド『五本木茶舗』を併設。写真左から株式会社サンメレの河野氏、多治見氏、山上氏

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「100種のお茶割り」でお茶割りのムーブメントを起こした学芸大学の『茶割』が、姉妹店『wacasu』をオープンしてからまもなく1年。生産者や生産技術にこだわった素材でつくるお茶割りと創作フレンチで、ワンランク上のお茶割りの楽しみ方を提案する『wacasu』の狙いとは? 運営元の株式会社サンメレ代表取締役・多治見智高氏に改めて聞いた。

【注目記事】唯一無二のコンセプトで躍進する『茶割』。100種のお茶割、100種の唐揚げはなぜ生まれたか?

「100種のお茶割り」から、厳選素材のフレンチのお茶割り酒場へ

大衆居酒屋の定番でありながら、長く日の目を浴びることがなかった「お茶割り」の隠れた可能性にいち早く目をつけ、主役を張る存在へと伸し上げた人物こそ、株式会社サンメレ代表多治見智高氏、その人だ。

株式会社サンメレ代表取締役・多治見智高氏

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多治見氏が2016年から手がける、100種のお茶割りが楽しめる酒場『茶割』(学芸大学)は、今や坪月商35万円を超える人気ぶり。10種のお茶と10種の酒を自由に組み合わせることで広がるお茶割りの新しい楽しみ方は、お客の心を確かに射止めたといえるだろう。

その『茶割』の姉妹店として、同じく学芸大学に2023年にオープンしたのが『wacasu』だ。フレンチをベースにした創作料理と、職人たちが丹精込めてつくったお茶と焼酎で、よりブラッシュアップしたお茶割りの可能性を表現する。

バルサミコとチーズ香る『穴子、大長茄子』(1,400円)

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『茶割』成功の鍵はマスをターゲットにした“システム”

大学在学中から、「コンセプター」のパイオニアとして知られる坂井直樹氏のもとでマーケティングやデザインを学んできたという多治見氏。卒業後、自らもデザイナーとして活動する傍ら、並行して続けていた音楽活動をきっかけに飲食業へと参入することとなる。

「定期演奏を行っていたビストロの閉店が突然決まって、なかば演奏場所の確保のためにその店を引き継いだことが飲食業界への入口です」

そんな多治見氏が「コンセプトワークの知見を活かした店づくりがしたい」と挑んだのが、『茶割』だ。時はちょうどレモンサワーブームの走り。その流れに乗る選択肢もあったが、あえてその先……ポストレモンサワーとしてお茶割りに懸けた多治見氏の見立ては見事に的中した。

『茶割』開業から8年。今、多治見氏自身、その成功の鍵はまさに着実なコンセプト設計にあると振り返る。

「『茶割』は、10種ずつのお茶と酒を組み合わせることで、お茶割りをカスタムできる“システム”で成り立っています。店側が『究極の1杯の追求』に走ったレモンサワーとは逆の発想で、スポットを当てたのは、無限にあるお茶が持つ“幅広さ”。お茶が持つ親しみやすさや価格帯も相まって、テーマパーク感覚で誰もが気軽に楽しめるマス向けの店になったと思います」

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山本愛理

ライター: 山本愛理

フリーライター・エディター。WEBを中心に食にまつわる記事を執筆。 昔ながらの喫茶店から星付きレストランまで、美味しいものを通して幸せな時間を提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。空いた時間はもっぱらカフェ巡り。