飲食店ドットコムのサービス

『池尻 居髪店』の“目的客”を狙った業態アレンジ。「居国籍料理」で新エリア開拓に成功

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

エントランスはビル1階のやや奥まったところに位置する。オープン当初は理髪店のシンボルであるサインポールを店頭に飾っていたが、理髪店と間違えるお客がいたため、現在は取り外している

画像を見る

中国の片田舎にある理髪店が内外装のデザインテーマ

『池尻 居髪店』を開発した笹森達也氏は同社で5店の業態開発を手がけてきたエキスパート。業態開発の時点で笹森氏が独立することが決まっていたため、オープン3か月後には浅野氏が事業を引き継いだが、「試行錯誤を重ね、ようやく業態が固まってきました」と説明する。

店名に掲げる『居髪店』は居酒屋と理髪店をドッキングさせた造語だが、ここには居酒屋の自由度と商品の専門性を両立させるための狙いが込められている。

店舗規模は18坪35席。不揃いのテーブルや椅子、統一性のないインテリアなどを配して雑然とした店の雰囲気を演出している。

画像を見る

まず業態として固まったのがスパイス料理に特化することだった。ただ、タイ料理やインド料理など料理ジャンルを絞ると居酒屋の自由度が損なわれてしまう。そこでスパイスを軸に幅広いジャンルの料理を網羅したフードメニューを組むことにしたわけだが、それをひとつにまとめるキーワードが“居髪店”である。

「イメージしたのは中国の片田舎にある理髪店でした。かつての理髪店は町場の集会所のような役割を果たしており、“人と人とのつながりの場”という点は居酒屋に通じます。中国料理もスパイスを使いますし、なによりも片田舎の理髪店ならではの雑多感が無国籍料理のフードコンセプトにぴったりだと考えました」(浅野氏)

フロアの奥に設置されているロフト席はテーブル、椅子ではなく、ちゃぶ台とザブトンを使用

画像を見る

雑多感のあるインテリアで「友達の家」のような居心地のいい空間を演出

店舗規模は18坪35席。コンクリート打ちっぱなしの床と壁に古材を用いたカウンターやロフトを組み合わせ、アンティークの椅子やテーブルを配置しているが、浅野氏は「営業を重ねたことでようやく味わいが出てきました」と笑う。

カウンター上にトランプをはじめとする遊び道具を陳列し、「友達の家」のような雑多な空間を演出

画像を見る

確かにオープン直後の内観写真と比較すると店内の雑多感がぐんと増している。天井からは地球儀が吊り下げられており、その脇に謎の椅子。壁にはおすすめメニューを書き込んだ養生テープが貼られており、カウンターの卓上にはトランプが散らばる。さらにロフト席にはちゃぶ台と座布団が置かれ、その脇にある戸棚は引き出しを開けっぱなしにしている。

店内のそこかしこにさまざまな装飾の仕掛けが施されているが、「友達の家に遊びにきたような肩肘を張らない居心地のいい空間」(浅野氏)にすることがその狙いだ。

天井にもユニークな装飾の仕掛けが。インテリアとして椅子や座椅子、スケートボードを飾りつけている

画像を見る
Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。