神田『空腹鶏』、業態転換で月商800万円に。繁盛の裏にはタトゥーあり!?【連載:居酒屋の輪】
繁盛している居酒屋はどこかで必ずつながっている。名店誕生までのストーリーを探りつつ、また別の新しい名店を紹介してもらう連載企画。前回登場『魚義』の遠藤義正さんが「知識豊富で発想力が凄い。自分の師匠のような存在です」と話すのが全身タトゥーだらけの経営者、中村純平さんだ。
肉バルから大衆居酒屋への業態転換で月商を2倍まで伸ばした神田『空腹鶏』、わずか16席で月商1,800万円を達成した中目黒『T』など、現在は三大都市圏で5店舗を経営中。その躍進の背景にはタトゥーの存在を前面に押し出すという異色のブランディングがあった。
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マイナスのイメージを逆転させる「ビジネスタトゥー」
「そもそも僕はヤンキーでも不良でもないです。ビジネスでタトゥーを入れています。例えば指には会社名を入れていて、これが印象に残るから初対面の方にも覚えてもらいやすいんですよ(笑)。もちろんタトゥーは偏見の目で見られることもありますが、それも致し方ないこと。第一印象が悪くとも、しっかり仕事をすることで、結果的により好印象を残すこともできます」
コロナ禍という逆風の中でも店舗を広げ、現在は東京、名古屋、大阪で肉料理に特化した飲食店を展開している中村純平さん。スタッフの8割近くにタトゥーが入っていると言えば無頼漢なイメージもあるが、丁寧な接客を心がけることでマイナスをプラスに変えてきたという。
「僕も独立したばかりのころは『タトゥーは隠しましょう。当たり前のことをしましょう』なんて型にはまったルールを設けていました。でもある時、同僚をお連れになったリピーターのお客様に『ここのお兄ちゃんタトゥーが入ってるんだよね』と、何だか誇らしげにご紹介いただけたんです。確かに、真面目な印象のある上司や同僚がタトゥーだらけの店員と親しげにして『お疲れ様です』なんて頭を下げられていたら……それって“カッコ良いよな”と思ったんですよ」
それ以来、ブランディングとして、ビジネスとして「タトゥーを利用するのも面白そう」と考えるようになった中村さん。一方で「タトゥー大歓迎」などとスタッフも募集しているが、必ずしも望む人材が集まる訳ではないという。
「実感値としてタトゥーが入っている応募者の8割が『飲食業をしたい』ではなく『飲食業しかできない』という方々です。“タトゥーを入れた自分に酔っている”場合も多いと思います。だけど、残りの2割はタトゥーのマイナスイメージをプラスにできる素晴らしい人材です。『タトゥーを入れているのに働きものだね』『体張って仕事してますね』『飲食に命かけてますね』なんて嬉しい声を多くのお客様からいただけています」
