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新橋『匙かげん』、開業2か月でリピート客は4割に到達。ファンを作る巧みな仕掛けとは?

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料理長の大住圭氏(写真左)と、店長の鹿戸裕也氏

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東京・新橋から銀座、虎ノ門エリアを中心に『烏森百薬』や『STAND BY Mi』などの繁盛店を手掛けるミナデインが2024年7月、新業態の『匙かげん』をオープン。「シェフのアトリエ」をコンセプトに、隠れ家的な空間で和食を提供している。宣伝なしの開業にもかかわらず、姉妹店のお客やリピーターで連日賑わう。開業の経緯と、店づくりについて取材した。

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試作用のテストキッチンを、常連客のための「別邸」としてオープン

全国各地の名店のメニューを取り寄せて提供する『烏森百薬』や、トップシェフ監修の料理を気軽に楽しめる『STAND BY Mi』など、ユニークなコンセプトの11店舗13業態を展開する株式会社ミナデイン。食を通じたまちづくりをミッションに掲げて地方創生事業などにも取り組む一方、創業店の『烏森百薬』のある新橋を含む「広域新橋圏(銀座、新橋、虎ノ門)」を同社の拠点と位置づけ、すべて違う業態・店名でドミナント出店を続けている。

1階には看板がなく、狭い階段を昇った2階に暖簾がかかる

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『匙かげん』も、そんな新橋エリアの繁華街に出店。新橋駅から徒歩3分ほど、もとは住居として使われていた路地裏にあるビルの3階をリノベーションし、カウンター席とテーブル席を全21席用意した。視認性の低い空中階であることを逆手にとり、「屋根裏の台所」をキャッチコピーに、目立つ看板は置かず狭い階段を昇った先に異空間が広がる隠れ家感も魅力にする。

「『匙かげん』は、姉妹店に入れないお客さまのために作った別邸」と説明するのは、『STAND BY Mi』の立ち上げから店長を務めた鹿戸裕也氏。そもそもは新橋にメニューの試作などを行うテストキッチンを作るつもりで物件を探していたが、運営店舗が満席続きでお客を断らざるを得ない状況が続いていたという。そこで、お客に開かれたテストキッチンをコンセプトにした店舗として『匙かげん』をオープンさせた。

店内奥のテーブル席。絵画を飾り、アトリエ感を演出

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少人数の宴会ニーズにも対応する「新橋にない店」づくり

客席は、カウンターとテーブルで計21席。店づくりでは常にまちづくり(=他エリアからも集客し、地域活性に繋がるような店)を意識しているといい、『匙かげん』は「新橋にない雰囲気」をテーマに設計したという。グレーを基調にしたモダンな空間で、リゾート感のあるゆったりとしたテーブル席を設け、グループ利用にも対応する。

「新橋は、同社の代表である大久保伸隆が、長年飲み歩いていて土地勘があるエリア。電車の便がよく、カジュアルな飲食店が密集していることから赤坂、虎ノ門、汐留近郊からも集客でき、商圏は広い。さらに店舗展開をする中で、小規模宴会の需要が高く、貸切のニーズもあることがわかっていました」と鹿戸氏。

実際に『STAND BY Mi』2階に設けたVIPルームは、非公開・紹介制にもかかわらず毎日稼働しているという状況だ。『匙かげん』では5~10人程度で、1人6,000円~8,000円くらいで利用しやすい店を目指したという。

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笹木理恵

ライター: 笹木理恵

飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo!ニュース個人」でも執筆中。 https://foodwriter-rie.com/