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“生ハム愛”を極めて坪月商65万円。浅草『nacol』が掲げる唯一無二の店づくり

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低めのカウンターとローチェアを配した店内。写真手前の席は対面で座れるようにしている

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2軒の繁盛店を経て、生ハムに特化した店を立ち上げる

家亀氏は2013年、21歳の若さで独立し、新橋でイタリアンバル『LOCCO』を開業。11坪で480万円を売り上げる繁盛店となったが、イタリア料理というジャンルからさらに何かに特化した、売りと言えるものを作りたいと悩んでいたという。そんな中、イタリアに足を運び惹かれるようになったのが、生ハムだった。切りたての美味しさに感動し、サルメリアと呼ばれる加工肉のショップに多種多様な生ハムが並ぶ光景にも魅力を感じて、生ハムの知識や扱い方を極めるようになったという。

その後、立ち退きのため新橋の店は閉店。蒲田で『リボリータ エ サルメリア』をオープンした。生ハムやサラミの盛り合わせを看板メニューにし、その他は旬の食材を活かしたイタリア料理をアラカルトで提供。こちらも人気店となり約20坪で月商700万円を売り上げたが、“唯一無二の店”として生ハムに一層特化し、その魅力を多くの人に伝えたいという思いが強くなったことから『nacol』をオープンするに至った。

オーダーごとにスライサーで丁寧に生ハムをカット。切りたての美味しさが楽しめる

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集大成の店をつくるため、スケルトンの物件にこだわる

店があるのは観音裏と呼ばれる浅草寺の裏手で、名店が多いエリア。これまで経営した2軒はいずれも繁華街の駅近で集客には困らなかったが、新店はあえて駅から離れた場所で勝負することにした。わざわざ足を運んだ結果、おいしい料理が食べられるという相乗効果により、満足度が一層上がることも狙ったという。

「居抜きで開業してきたこれまでの経験を踏まえて、今回はスケルトンの物件を条件に探しました。居抜きだと初期費用は抑えられますが、店を続けていくうちに故障するものが出てきたり、“ここが気に入らない、使いづらい”といったストレスも感じたりとさまざまな面でひずみが生まれてしまい、メリットがそれほど感じられなかったからです」

自分一人の目が届く範囲で運営していくため、客席はカウンターに。カウンターの端には存在感のあるスライサーが鎮座しており、目の前で生ハムがスライスされるライブ感が楽しめる。スライサーはホバート社のもの。さまざまなメーカーのスライサーを試したが、台座が斜めになっているので自重を活かしてカットすることができ、生ハムに余計な圧力をかける必要がないことから愛用している。

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難波美枝

ライター: 難波美枝

ライター・エディター。プロ向けのフランス料理専門誌の編集部におよそ10年在籍した後、フリーランスに。料理雑誌やワイン専門誌、Webなどで星つきレストランからビストロ、バルまで、幅広く取材。