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“生ハム愛”を極めて坪月商65万円。浅草『nacol』が掲げる唯一無二の店づくり

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コースの中の一品、「発酵バター、ブリオッシュ」。温かいブリオッシュの上に、極薄にスライスしたオーヴェルニュの24か月熟成生ハムがのっており、とろけるような食感だ

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多種多様な生ハムを随所に活かしたコース料理

「生ハムの盛り合わせは他の店でも出していて珍しくないので、アプローチの仕方を変え、日本の旬の食材と組み合わせた料理に仕立てて差別化しました。ディナーは計10品のおまかせコースで、本来なら1万円以上の価格にしたい内容ではありますが、より多くのお客様に生ハムの魅力を知っていただきたいので、オープンから少なくとも1年間は9,500円で提供する予定です」

フランス・オーヴェルニュの24か月熟成の生ハムを使った看板料理、「発酵バター、ブリオッシュ」をはじめ、3品程度の生ハムを主役にした料理を10品のコースに組み込んでいる。さらに、スープのコンソメは生ハムで取り、パンにも添えるなど、その他の料理にも生ハムを活用。産地や熟成期間、豚の種類、さらには個体によっても味が違うことから、5種類は常備してそれぞれの個性を活かした料理に仕立てている。

「カットのテクニックも、生ハムのおいしさを決めるポイントになります。例えば、一つの断面でもサシの入り具合によって味が違うので、毎回それを見極めながらカットしています。これまで300本以上の原木を扱い、よりおいしく食べられる切り方を追求してきましたが、まだまだ魅力が伝わるような表現を極めていきたいですね」

ディナーは9,800円のコースの他、6,500円のショートコースも用意。土日祝限定で5,500円のランチも提供している。ワインは生ハム同様、素材の味わいが表現されたナチュールを中心にラインナップ。グラスは1,000〜1,600円、ボトルは7,000円台が中心で、8,000円〜でコース料理とのペアリングも行っている。

コースの内容は月替わり。メニュー表には食材名だけを表記し、どんな料理が出てくるのか期待感を高める

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専門分野に特化し“マニアック”を極めた店を創る

「スライサーをもう1台導入し、生ハムの種類によって使い分けてみたい」「日本の生ハムにも手を広げて、食材をすべて国産でまとめた料理を提供したい」など、今も探究心にあふれる家亀氏。普通とは違ったマニアックさは、集客のフックにもなっている。

「将来的には、専門分野に特化した飲食店をやりたい人を募ってグループを作り、さまざまな業態の専門店を展開していきたいですね。何かを極めている店や他にはない売りがある店はコアなお客様を獲得しやすいですが、“こんな店がやりたい”というイメージはあってもノウハウがないという人は多いはず。そうした同業者に、自分がこれまで培ってきた経験を活かしてもらいたいと思っています」

生ハムへの探究心から、さらなる展開が生まれそうだ。

カウンター越しに映えるガラス張りのワインセラー。グラスを収納している左の食器棚は、イタリア・アマルフィで購入したアンティーク

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■『nacol(ナコル)』
住所/東京都台東区浅草3-28-9 サイドプレイス1F
電話番号/03-6802-3898
営業時間/ランチ11:30〜L.O.13:30(土日祝)、ディナー17:00〜L.0.20:30
定休日/月曜
席数/8席

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難波美枝

ライター: 難波美枝

ライター・エディター。プロ向けのフランス料理専門誌の編集部におよそ10年在籍した後、フリーランスに。料理雑誌やワイン専門誌、Webなどで星つきレストランからビストロ、バルまで、幅広く取材。