用賀、三茶、駒沢で話題の居酒屋『スタンドS』。大ヒットの秘訣は“永続的コミュニティづくり”
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スタッフの独立を視野に入れた店舗展開
ちなみに創業店である『用賀スタンドS』は定期借家契約だったことから、契約内容変更のため移転した経緯があり、元の店舗はイタリアン『スポルカチョーネ』に業態転換していた。2022年11月、同店はシェフの井上雄一氏へ譲渡する形で明大前へ移転し、今も人気店となっている。清水氏が当初からの展望として見据えているのが、こうしたスタッフへの店舗の譲渡だ。
「グローバルダイニング時代に感じていたのが、マネジメントのできる人材が少ないということ。特に大型店だとマネジメントができる人材は少ないのですが、一方で、小型店や、時間や範囲を区切ればできる、という人は多い。そうした人材育成の点も踏まえて、小型店にしぼって出店しています。お客様にきちんとこだわりを伝え続ければいい店になり、長く続く店になる。そのノウハウをこの店で学んでほしいと思っています」
清水氏は『駒沢スタンドS』の店頭に立ちつつ他の2店舗にも顔を出すが、3店舗とも基本的な運営は現場のスタッフに一任。洋食出身のシェフがいる用賀は日替わりでシェフの持ち味を打ち出したおすすめを提供し、ワインはナチュールのみ、三軒茶屋は手軽な酒のつまみが中心で流行の酒をそろえ、駒沢は魚料理専門店出身の料理人の腕を活かして刺身を常備……といった具合にスタッフたちが自身の持ち味や地域性を打ち出している。
また、スタッフが社外でも独立に向けた勉強ができるよう、休日は週2日に。拘束時間が長くなるためランチ営業はせず、その分夜は深夜2時まで営業することでランチに相当する売上も確保している。今後はさまざまな働き方ができるような体制をととのえていきたいという。
「この業界は30〜40代で離職する人が多いのが現状。若いスタッフにはこの仕事を長く続けてほしいので、お客様に喜ばれることに対するやりがい、楽しさを伝えていきたいです」
同社の社名“PLACE”には、「みんなのための場所を作る」という想いが込められている。『スタンドS』は地域のお客だけではなく、飲食業界で働く人材のための場でもあるようだ。
『駒沢スタンドS』
住所/東京都世田谷区駒沢1-5-9
電話番号/03-6453-4066
営業時間/17:00〜翌2:00(L.O.翌1:30)
定休日/不定休
席数/30席、テラス14席
