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寒暖差が野菜の美味を育む。ホテルシェフも惚れ込む信州野菜の魅力に迫る

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「ひぐらし農場」の木内順一さん(右)と息子の木内晴基さん(左)

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野菜や果物の名産地である長野県。健康需要の高まりや、環境意識の向上により、質の高い地場野菜は多くの料理人から愛されており、長野県産食材も例外ではない。今回はホテルシェフも仕入れているという長野県の「ひぐらし農場」に足を運び、野菜作りのこだわり、信州野菜のほかにはない魅力を伺った。

長野県の最北端にある飯山市のなべくら高原に位置する「ひぐらし農場」

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長野ならではの地形、昼夜の寒暖差が野菜のうま味や甘みを引き出す

長野県は南北に長く、全国第4位の県土を有する。四方を2,000~3,000メートル級の山々に囲まれており、年間を通じて寒暖差が大きい。耕地の約8割が標高500~1,500メートルに位置するのも、長野県の大きな特徴だ。

「高原が多く寒暖差の大きな長野の気候が、甘くて味が濃いおいしい信州野菜を育んでいるのだと思います」

そう語るのは、「ひぐらし農場」を営む木内順一さんだ。「ひぐらし農場」があるのは、長野県最北端に位置する、飯山市の鍋倉山のすそ野に広がるなべくら高原。長野県下高井郡木島平村の稲作農家出身の木内さんが、農業高校時代の同級生に紹介されことをきっかけに、40年ほど前に移り住んだのが「ひぐらし農場」の始まりだ。

順一さんがこの地で農業を始めたもう一つの理由に、なべくら高原ならではの気候がある。なべくら高原は標高600メートルほどと、長野県の中でも特に標高が低い高原であるが、積雪が4メートルを超えるほどの豪雪地帯でもある。これは上越側から湿気を含んだ風が鍋倉山の断壁に吹き上げられることで、そのすそ野に広がるなべくら高原に大雪が降り積もるという地形と気候条件が影響している。そのため、標高1,000メートルを超える高原と同じように野菜作りが可能な土地なのだという。

幼少期から絵描きが趣味だった順一さんは、雪が舞い散るなべくら高原の様子を描いてきた

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「標高が低いにもかかわらず、冬になると斑尾高原と同じように大雪が降り積もる。この不思議な風景を少年時代から目にしていて、あの場所に行ってみたいと憧れがあったんですよ」と順一さんは当時を振り返る。

長野県の中でも特においしくてきれいな湧き水、日本有数の豪雪地帯であるからこその厳しくも豊かな自然環境、そして朝晩の寒暖差がおいしい野菜を育むなべくら高原。その結果、味が濃く、甘みがしっかりと感じられ、香り高い野菜が出来上がるという。

「ひぐらし農場」では耐病性に優れ、みずみずしい味わいの「新藍」という品種のキャベツを栽培

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リレー栽培を行い、野菜やハーブなど計60種類ほどを年中収穫

この土地の魅力について「水はけがよく、素直で野菜が作りやすい土壌ですね。山から冷気が吹いており、夜間の温度や湿度が低いので、レタスなどの葉物野菜の栽培にも向いています」と順一さんは熱を込める。

合計4.5ヘクタールの土地からなる「ひぐらし農場」は、約3.2ヘクタールの農地が高原、約1.3ヘクタールの農地が平地にある。冬~春にかけては平地のハウスでホウレンソウや春菊などを栽培し、春~初夏にかけては平地の畑、初夏から積雪の季節までは高原の畑で農業を行う「リレー栽培」を行っている。

これについて「異常気象や病気などさまざまなリスクヘッジのため」と順一さん。通年で何かしらの野菜を出荷できるような体制をとる。

また、慣行栽培よりも少ない回数の消毒散布で育てる「減農薬栽培」を心掛け、除草剤は不使用。冬期間の虫や病気が少ない時には、農薬などは使わずに育てる野菜もあるという。

現在は息子の木内晴基さんも農業に参画し、娘の木内マミさんもハーブづくりに勤しんでいる。野菜は15~16種類、ハーブは約40種類ほどを栽培しており、一部は東京の有名高級ホテルも仕入れるほど農産物の質が高い。

オンライン販売や、食育、里山体験も含めて農家のブランド価値向上に努めている晴基さん

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収穫、調理、食べるまでに価値を見出すため、体験やオンライン販売も強化

息子の晴基さんも家業を手伝うようになり「ひぐらし農場」に新たな変化があった。一つは、消費者に採れたての野菜を収穫してもらい、調理、試食を楽しんでもらう「フードラボ」体験を2018年ごろからスタートさせたこと。順一さんがこの農場を始めたときから「農場そのものを楽しんでもらいたい」という思いを抱いており、晴基さんがそのスピリットを引き継いだ形だ。

「農業はサービス業の一つとして考えていて、訪れる人に川やブナの木が生い茂る森で遊んでもらいながら、里山に親しんでもらえれば」と話す。「フードラボ」では農場で収穫した野菜を使ったハンバーガーづくりなどを行い、首都圏から自然を求め訪れる人も多い。

もう一つ新たに2020年ごろから始めたのが、オンライン販売だ。従来まで農作物は直売所メインで販売を行っていたが、より多くの人に知ってもらう機会を作りたいとオンライン販売に乗り出した。

そのうちの一つが、信濃毎日新聞社が運営するスマートフォンアプリの「HELASオンラインマルシェ」だ。長野県内の農業生産者による野菜・果物などを「HELAS」とヤマト運輸がタッグを組んで全国の消費者に販売、配送を行う産直サービスである。

導入の経緯について晴基さんは「手間はかかるが販路を広げた方が、より多くの人に知ってもらえて長い目で見て売上につながると考えました」と将来性を見込んだと話す。

出品している商品について「たくさん採れてしまったもの、もしくはあまりほかの農家さんが出品していないような野菜を出品するようにしています。先日はマイクロキュウリを出品したのですが『スーパーマーケットでは見かけない、珍しい野菜に出合えて嬉しい』という反応もありました」と晴基さんは声を弾ませる。現在「HELASオンラインマルシェ」には、甘くて味の濃い、シャキシャキとした食感の大きなキャベツを出品中だ。

「我々が自信を持って作った野菜なのでおいしいのはもちろんですが、食べていただくことで長野県や農家にも興味を持ってもらえるとありがたいですね」と晴基さんは意気込む。

アプリで簡単に長野県産の青果を探せて、購入、配送まで完了できる「HELASオンラインマルシェ」

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珠玉の信州野菜や果物が揃う産直アプリ「HELASオンラインマルシェ」

「ひぐらし農場」の野菜を購入できる「HELASオンラインマルシェ」は、この夏スタートしたばかりの新しいサービスだ。長野県内にある40ほどの登録農家から味の良い信州野菜や果物、穀物を、アプリで簡単に注文できる。サイズや見た目、小さな傷が原因で出荷出来ずにいた規格外野菜も多く扱っており、市販品よりも安価で味の良い信州野菜を仕入れることもできる。最近では「シャインマスカット」なども並び、人気を博した。

また、「HELASオンラインマルシェ」は送料の安さも特徴の一つ。長野県から首都圏までの送料はサイズにもよるが、最大6割引きのため、ほかの産直ECサイトを利用するよりもリーズナブルに済む。ロット数の少ない商品も多いため、お試しでも始めやすい。

都市部ではお目にかかれないような、生き生きとした野菜を育てている「ひぐらし農場」

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豊かな高原が育む信州野菜を、お店の看板メニューに

厳しくも豊かな自然環境の恵みを野菜づくりに反映させている「ひぐらし農場」。これまで長野県内以外ではなかなか手に入れることが難しかったような質の高い野菜を、「HELAS」を使えば現地まで足を運ばずともスマホで簡単に仕入れることができるようになった。最近ではおいしい野菜にフォーカスをあてた居酒屋やレストランも増え、人気を博している。おいしい信州野菜をもとに、メニュー開発を行い、集客につなげてみてはいかがだろうか。

■「HELAS」のサービス概要はこちらから
■「HELAS」のアプリダウンロードはこちらから

[提供] 信濃毎日新聞株式会社

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ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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